データサイエンティストであり、メガバンクや経営コンサルティングファームで経験を積んだ「プロ経営者」でもある一休の榊淳社長。過日、米国のカンファレンスに出席して「衝撃の体験」をしたそうだが、その真相とは。

一休社長
先日、米ニューヨークで開催されたAI(人工知能)のカンファレンスに出席しました。グーグルのデータサイエンティストとかウーバーのエンジニアなどが登壇したのですが、聞いているうちにちょっとした「衝撃」を受けました。
何かと言うと、データサイエンティスト、エンジニアである彼らが、非常にレベルの高いビジネス知識を持っていたことです。
カンファレンスでは、グーグルのAIについてデータサイエンティストがプレゼンしたのですが、まず最初に彼らのビジネスの現状について数字に基づいて分析。さらに、そのビジネスをどんなテクノロジーが支えているのかを詳細に説明し、最終的にはAIのコーディングまで話していた。こんなプレゼンを(分野ごとに手分けをするのではなく)1人の同じ人がするんです。
しかも、見るからに優秀そうな若い人だけでなく、60歳くらいに見える白髪のおじいちゃんも、同じように見事なプレゼンをしていた。
少なくとも僕は、日本でデータサイエンティストと呼ばれている人が、これだけ的を射た経営目線の話をしているのを見たことがありません。
日本のデータサイエンティストの多くは、「ビジネスは自分の専門外。経営に関する知識は求められない」という環境下で仕事をされているのかもしれません。
(データサイエンティストなどを)採用する企業の側もそれが当然と思っているようです。でも、海外では、経営×データサイエンスの融合がもう少し進んでいるように思います。
もう少しブレークダウンして説明しましょう。
例えばA君はサイエンティストで、テクノロジー系の知識やスキルは持っているが、ビジネス系の知識がなく、実務には疎いとします。一方、同僚のBさんはそれとは逆にマーケティングなど経営系が専門で、サイエンス系のことは分からないとする。
こんな2人がディスカッションしたらどうなるか。互いに理解できるのは下図の赤い線で囲った領域だけになります。いつの間にかお互いによく理解できる範囲で議論するようになってしまう。これでは議論して出てくる結論や、それを具体化した施策もレベルの不十分なものになってしまいます。
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