ネット広告でも重要度を増す「ビューアビリティ」。広告がきちんと見られたかどうかを示す指標だ。ベンチャー企業のTVISION INSIGHTS(東京・千代田)はこれをテレビ視聴分析に持ち込んだ。視聴率が高くても、実際は見られていない。そんな番組もデータで分かる。特集4回目は「視聴質」分析に挑む同社を紹介する。

ビューアビリティ分析をテレビで実現 本当に見られたCMが分かる(画像)

 筆者がテレビの画面から目を離すと、すぐさま視聴態度を示す「Looking Away」の項目の表示が「Yes」に変わる。センサーで人間の動きや表情を感知、現在の状態を機械的に解析して視聴態度を割り出すことで、テレビの方向を向いていないことを検知しているのだ。ベンチャー企業のTVISION INSIGHTSが開発したテレビ視聴の分析サービスを活用すれば、そんな視聴態度まで分かる。

 長らくテレビの指標として使われてきた「視聴率」は、テレビをつけてさえいればそれも視聴としてカウントされる。しかし、もしかしたらテレビの電源は入っているものの、スマートフォンを使いSNSに夢中になっているかもしれない。あるいは台所で料理に専念している可能性もある。いずれにせよ、本当に見ているかどうかまでは分からなかった。同じ10%の視聴率の番組があったとして、注視する視聴者が多い番組と、ながら視聴が多い番組、もしあなたが企業の宣伝部長ならどちらにテレビCMを出稿したいと考えるだろうか。きっと前者に違いない。これまではデータがなく、その判断すらできなかった。

 また、世帯の家族構成に合わせた専用のリモコンを調査世帯に設置して、テレビの視聴に合わせて押してもらうことで個人視聴を取得する「ピープルメータ」も、「押し忘れ、消し忘れがある可能性も否めない。成熟した手法ではあるが、もっと機械的に取得する方法があるのではないか」とTVISION INSIGHTSの郡谷康士社長は指摘する。そこで、同社はテレビが抱えるこれらの課題に対するソリューションとして、IoTを用いて自動で視聴態度を取得し、解析する技術を開発した。消費財メーカーや自動車メーカー、通信会社など約70社が導入している。

ビューアビリティ分析をテレビでも

 TVISION INSIGHTSのサービスは、ネット広告では「ビューアビリティ」と呼ばれる指標の測定に当たる。ネット広告でも悪意のある業者が機械的に広告を閲覧やクリックしたかのように装って、収益を得ようとするアドフラウド(広告詐欺)が問題視されるなか、本当に人が閲覧したかどうかを測定するビューアビリティの重要性が高まっている。郡谷氏は、このビューアビリティという考え方をテレビに持ち込んだ。

TVISION INSIGHTSはテレビでは空白地帯だった「ビューアビリティ」を測定するサービスを開発する
TVISION INSIGHTSはテレビでは空白地帯だった「ビューアビリティ」を測定するサービスを開発する

 広告出稿から効果測定までを6段階に分けるとすれば、初期段階の「インプレッション」はビデオリサーチや、PTPの解析サービス「Madison」などの既存のプレーヤーがいる。また、「効果測定」についても特集3回目で紹介したインテージや、テレビCMと「Tポイント」のデータを連動して効果分析をするCCCマーケティングなど、さまざまなプレーヤーがひしめき合っている。ところが、「テレビのビューアビリティの測定は競合がいない」ことに郡谷氏は目を付けた。テレビCMが放送されたが、本当にターゲット層は目にしたのか。いわゆる「視聴質」が分からなかった。これを明らかにする指標をTVISION INSIGHTSは提供する。