実施:制約を逆に武器とせよ。街並みを借景として活用

 リニューアル後の水族館のコンセプトは「天空のオアシス」で、水中世界を通じて癒やしや安らぎを提供する「都会の非日常空間」を目指した。各水槽は水塊をテーマに演出。「サンシャインラグーン」という大水槽は、水槽の形や照明の濃淡を工夫することで、限られた水深でも水のゆらめきを感じさせ、海がどこまでも続くような奥行きも表現している。

 屋外エリアにある「サンシャインアクアリング」は、直径約8mのドーナツ形の水槽だ。アシカが元気に泳ぐ姿を真下からも見せたい、というアイデアを実現。水槽を支える柱が太いと水中感が薄れてしまうため、水量を減らして軽くする狙いで真ん中をくり抜き、ドーナツ形にした。

 「天空のオアシス」をさらに完全なものにするために、16年9月から屋外エリアの一部を閉鎖。約10カ月の工事を経て、17年7月にリニューアルオープンした。その目玉となった展示の一つが「天空のペンギン」だ。屋上からは周囲のビルやマンションが見え、非日常感を演出しにくい。しかし、その制約を「どこもまねできない特徴」と捉え、“借景”にしたのだ。いわゆる「インスタ映え」する水槽が多いが、意図したわけではないという。「水塊をテーマに考えていった結果、自然と写真映えするデザインになった」と丸山館長は話す。

●サンシャイン水族館の来館者数の推移
●サンシャイン水族館の来館者数の推移
2011年のリニューアルオープン後、年間来場者数の目標は110万人超だった。だが、実際には約224万人(8月オープンのため、年度で換算すると162万人)で、前年の約3倍になった
リニューアルの極意
「制約」は新しい発想が生まれるチャンス! 制約を乗り越えるために議論を重ね、アイデアを出し合うことで、新しいテーマや今までにない表現方法が見つかる可能性がある。

(写真/丸毛 透、写真提供/サンシャイン水族館)