金鳥ブランドで知られる大日本除虫菊の「ゴキブリがいなくなるスプレー」は、2018年2月「コックローチ ゴキブリがいなくなるスプレー」(以下、ゴいス)へリニューアルした。売り上げは以前の1.7倍。その秘密は、驚きのパッケージデザインにあった。

「ゴキブリがいなくなるスプレー」は2009年発売、12年に若干のリニューアルを行い、18年2月に、新発売の「ゴキブリがうごかなくなるスプレー」と姉妹商品として「コックローチ」ブランドに統合
「ゴキブリがいなくなるスプレー」は2009年発売、12年に若干のリニューアルを行い、18年2月に、新発売の「ゴキブリがうごかなくなるスプレー」と姉妹商品として「コックローチ」ブランドに統合

 パッケージの大きな特徴は、缶の表面全体をシュリンクフィルムで覆い、目立つ色や大きな商品名などをこのフィルムにプリントしたことだ。つまり、購入後にフィルムを剥がしてしまえば、ほぼ金鳥のロゴだけになり、商品名などがほとんど目立たない。いわば「脱皮缶」だが、単にシンプルでインテリアになじむ以上の意味がある。

課題:若年層をつかめず市場が先細り

 ゴいスはその名前の通り、ゴキブリの侵入を未然に防ぐことに重点を置いた殺虫剤だ。実はゴキブリ用殺虫剤の市場は年々縮小傾向にある。ゴいスのような侵入防止用や、冷却して動きを止めるタイプ、遠くから狙い撃ちできるタイプなど新たな商材を投入することでなんとか横ばいを保っている状況だ。

 同社が独自に行った市場調査では、ゴキブリ用殺虫剤の世代別購入金額構成比は60歳以上が40%近くを占めている一方で、20代はわずか4.5%、30代も13.2%に過ぎなかった。若年層の需要の掘り起こしが大きな課題なのだ。

検討:意識調査を実施。若年層の潔癖度は想像以上

 そこで、若年層が買ってくれない原因を深掘りするために、インターネットを使い、購入層の主力である女性の各年代の意識調査を実施した。その結果「20代、30代という若い世代の潔癖度が、我々が思っていたよりもずっと高かった」とマーケティング部営業企画課の伊藤圭亮氏は言う。数字で見ても、「名前を聞くのも絵を見るのも嫌」という割合が他の世代よりも高く、自由記入欄でも、「ゴキブリを見るのも嫌なのに、その絵の付いた商品を家に持ち帰るなんて」という意見や、そもそも“ゴキブリ”と書くことを拒否して“G”としか書かない人もいた。

 同調査では収納実態についても調べた。どんな場所に殺虫剤をしまっているのかを消費者自身に撮影してもらい、それを送ってもらったのだ。その結果は2つの大きなタイプに分かれた。戸棚の中など目につかない場所に隠すか、ペットボトル用のカバーなどで缶の表面を隠すかのどちらかだ。「戸棚の奥ではいざという時にすぐ使えないし、探している間に逃げられてしまう。かといって、缶の裏側には成分や使い方、使用上の注意などの表示があるので、これを隠してしまう使い方はメーカーとして推奨できない」(伊藤氏)。

●世代別購入金額構成比(大日本除虫菊調べ)
●世代別購入金額構成比(大日本除虫菊調べ)
●ゴキブリに対する意識調査(大日本除虫菊調べ)
●ゴキブリに対する意識調査(大日本除虫菊調べ)
マーケティング部営業企画課の伊藤圭亮氏。左は試作品で、紙のパッケージで缶を覆う案もあった。コスト面で不採用に
マーケティング部営業企画課の伊藤圭亮氏。左は試作品で、紙のパッケージで缶を覆う案もあった。コスト面で不採用に