米ファスト・カンパニー

多くの企業・ブランドが熱を上げる最新のTikTokブームは何か? 企業やブランド独自の曲を作ることだ。ただ、ヒット曲は登場しているものの、同時にそれが“ものの数日”しか続かないという課題も浮き彫りになっている。

企業やブランドはオリジナルの楽曲の制作をアーティストに依頼し、TikTokで配信してヒットさせることを狙い始めている(出所/Shutterstock)
企業やブランドはオリジナルの楽曲の制作をアーティストに依頼し、TikTokで配信してヒットさせることを狙い始めている(出所/Shutterstock)

 ブランドのために制作された多くの音楽はキャッチーで、なかなか忘れられない。CMソングから現代の「ソニック(音響)ロゴ」の時代まで一貫して、頭にこびりついて離れない曲作りがマーケティングの世界の一部になってきたのは、このためだ。だが、ブランドが制作を委託した楽曲は果たして、宣伝の域を越えて正真正銘の大ヒットソングになれるのだろうか。多くの広告主が間違いなく、これを実現させようとし始めている。巨大SNS「TikTok」で使用するために、独自の楽曲の制作をアーティストに委託しているのだ。

TikTokの流行に便乗

 TikTokは、何と言っても音楽に深いルーツを持つ。そもそも音楽志向のアプリから進化を遂げたSNSで、急激に拡散する動画の多くは、すべての人が反応している特定の曲に合わせて踊ったり、口パクで歌ったりしたものだ。この流れは、英国人歌手ハリー・スタイルズの「As It Was」のような新たなヒット曲を生み出すとともに、ロックバンド「フリートウッド・マック」の「Dreams」のような往年の名曲を掘り返した。そして今、TikTokは音楽配信大手スポティファイに挑む計画さえ立てていると報じられている。

 ブランドとしては当然、このTikTokがつくり出すトレンド(流れ)に乗りたいが、厄介な問題がある。小売り専門媒体「モダン・リテール」が最近指摘した通り、As It WasのようにTikTok上で一躍人気となる曲は何百万本ものユーザー動画で再使用されるが、商業的なライセンスの制限のために、ブランドはこのトレンドに飛び込めないことが多いのだ(大ざっぱに言えば、スポンサー付きコンテンツで曲を使用するためにアーティストから許諾を得ない限り、ブランドはロイヤルティーフリーの楽曲しか使えない)。

 このため、一部のブランドはTikTokフレンドリーな独自のヒット曲を作るために制作を委託することにした。例えば米ペプシは最近、昔の「ソーダショップ」にひらめきを得た飲料シリーズを宣伝するため、1980年代の定番ソング「Footloose」のカバー曲の制作をクロイ・ベイリーに委託した(この作品は2022年夏に流行したFootlooseを使ったダンス動画のトレンドに便乗したものだ)。

 ペプシはカバー曲の発表で「全国各地の消費者はぜひTikTokとInstagramで@Pepsiをフォローし、『#PepsiSodaShop』と『#PepsiSweepstakes』のハッシュタグとともにクロイ流にアレンジされた『Footloose』を使った最高のダンス動画をシェアしてください」と呼びかけた(期間限定で優れた投稿を表彰する賞さえ提供された)。

最初の大ヒットは19年の化粧品ブランド

 ほかにも多数のブランドが、これと同じ戦略のさまざまなバリエーションを試している。米マクドナルドはラップ歌手でTikTokスターのティサコリアンを起用し、店舗でスプライトを獲得するためのクラブ風音楽を制作。ファンは「#McDonaldsStaticSprite」のハッシュタグを付けて自分のリフを投稿するよう促された。カジュアル衣料の米アメリカン・イーグルはTikTokミュージシャンのキャサリン・リーを起用し、本人の曲「Happening Again」を基に、同ブランドとタイアップした新バージョンを作ってもらった。

 一方、米ピザハットはTikTokで人気があるデトロイト出身のミュージシャン、ジョン・モスを起用し、文字通り「Pizza Hut Anthem」という曲名で同社チェーンのデトロイト風ピザを喧伝(けんでん)する曲を制作した。またクロイ・ベイリーは実はペプシと組む前に、「#ChewTheVibesChallenge」と銘打ったトライデント・ガムのマーケティングキャンペーンのために「Trident Vibes」と呼ばれる曲を制作していた。

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