米ファスト・カンパニー

消費者心理に関する新たな研究で、米ウーバーテクノロジーズが、対象となった全ブランドの中でも、「ハイテク・通信」企業の中でも、ともに最下位近くにランキングされた。配車サービスの利用者はウーバーから見捨てられたように感じているのかもしれない。かつては値ごろで便利だったウーバーが、今ではただ便利なだけだからだ。

米ウーバーテクノロジーズはニューヨークでも存在感を示している(出所/Shutterstock)
米ウーバーテクノロジーズはニューヨークでも存在感を示している(出所/Shutterstock)

 AI(人工知能)を駆使した大規模な心理分析は、配車サービス大手の米ウーバーが消費者から最も愛されていないブランドの1つであることを示している。

 ブランディング専門のマーケティング代理店MBLMによって2021年に実施された調査研究は、19産業の著名ブランドに対して消費者が抱く感情的な結びつきを測るため、さまざまなSNS(交流サイト)で14億以上のキーワードの使用を分析した。MBLMは22年4月以降、調査の結果をセクションごとに徐々に公表しており、同年7月6日にウーバーを含む「ハイテク・通信」業界の企業についての結果を発表した。

成績は100点満点中18.7点

 研究対象となった全435ブランドのうち、ウーバーは421位にランキングされた(米国人ファッションモデルのカイリー・ジェンナーが手がける化粧品ブランド「カイリー・コスメティクス」を辛うじて上回る順位)。ハイテク・通信業界では、ウーバーは26社中23位だった。

 MBLMの説明によると、研究は「消費者とブランドの関係の強度、広がり、性質を組み合わせる」複合スコア(1~100点)を使い、消費者がブランドに対して抱く感情的な結びつきを評価する。スコアが高いほど、「ブランドとの感情的な関係」が強いことを意味する。

 ウーバーのスコアは100点満点中18.7点だった。消費者とウーバーの関係は、なぜこれほど問題を抱えているのか。

 理由はたくさんある。スキャンダルやプライバシー関連の問題が相次いだ過去も足を引っ張っているだろうが、主な理由は恐らく、ウーバーの事業全体がいわゆる「おとり商法」を基盤としていることだ。配車サービスはタクシーより利点が多く、乗客にとっては便利で、手間がかからない。そして何年も相対的に安価だった。

 ウーバーの創業以来、大半の期間を通して、同社と同社に出資するベンチャーキャピタル(VC)が配車事業の本当のコストを補助してきた。狙いは、もちろん人々を利便性のとりこにし、先々、乗車料金の値上げを受け入れさせることだった。だが、この補助金はウーバーがなかなか黒字転換できない大きな理由の1つだ。実際、同社は09年の創業以来、莫大な赤字を計上してきた。業績を公表し始めた16年以降だけでも、300億ドル(約4兆1390億円)以上の損失を計上している。

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