米ファスト・カンパニー

次世代型インターネットの新潮流として今話題の「Web3(3.0)」。ウィキペディア編集者のモリー・ホワイト氏は暗号資産(仮想通貨)やNFT(非代替性トークン)、DAO(分散型自律組織)関連のトラブルや事件をWebサイト上に記録することで、Web3の世界に是が非でも必要な監視人になっている。

Web3(3.0)はネットの世界ばかりか現実(リアル)の世界でも大きな話題を呼んでいるが、その実、トラブルや事件が相次いでいると提言する人が増えてきた(写真はイメージ、出所/Shutterstock)
Web3(3.0)はネットの世界ばかりか現実(リアル)の世界でも大きな話題を呼んでいるが、その実、トラブルや事件が相次いでいると提言する人が増えてきた(写真はイメージ、出所/Shutterstock)

 巨大なハイテクプラットフォームを忌み嫌い、暗号資産をこよなく愛し、自分のデータとアイデンティティーを個人に管理させるブロックチェーン(分散型台帳)ベースの新しいインターネットは、すてきなアイデアのように聞こえる。だが、「Web3」(こうした概念を要約するために使われる用語)はよくても壮大な志で、最悪の場合、あからさまな詐欺だと訴える懐疑論者の合唱が大きくなってきている。

 一部の批判派は、ニュースレターを個人で配信できる「Substack」や動画投稿サイト「YouTube」上で熱弁を振るったり、企業のブログで疑念を表明したりする。自分の手持ちのお金を投じた経験からこれらに懐疑論を唱え、「ビットコイン」や「イーサリアム」といった暗号資産を空売りする人もいる。そんな中、ソフトウエア技術者で、ボランティアのウィキペディア編集者も務めるモリー・ホワイト氏のアプローチは、もっと単純で優れたやり方だ。

 ホワイト氏は単に、自ら立ち上げたWebサイト(およびTwitterアカウント)「Web3 Is Going Great(略称W3IGG)」上に、Web3関連の日々のトラブルと詐欺(仮説ではなく現実世界で起きたこと)を集約することで、Web3批判の急先鋒として頭角を現した。こうしたニュースの着実な流れ(多くは主流メディアで報じられていない内容)は、Web3が実際、その応援団が言うほど順調に進歩していないことを示唆している。

 米ファスト・カンパニーは、暗号資産やNFT、DAOなどのWeb3の要素に対する考えを聞くためにホワイト氏にメール取材した。以下に若干編集したインタビューを紹介しよう(情報開示のために言えば、筆者は主に調査目的でビットコインを少量保有している)。

詐欺やペテンが渦巻くWeb3プロジェクト

ファスト・カンパニー(以下、FC) W3IGGを始める気になったのはなぜですか。当時、何が目に映ったのですか。

ホワイト氏(以下、ホワイト) 暗号資産とブロックチェーンが誕生してから久しいが、2021年、この「Web3」シフトが本格的に始動した。つまり、ブロックチェーンが「Webの未来」になるという考え方だ。これを提唱する人たちは、遠からず誰もが暗号資産を使い、多くのサービスが何らかのブロックチェーンの上に構築され、すべてのWeb上の交流が何らかの形で金融化されると言っていた。私には、かなり悲惨な「Webの未来」に聞こえるものばかりだった。

 21年は、暗号資産の世界の詐欺性が爆発的に増した年であり、こうしたプロジェクトの仕掛け人の多くが本気で、(ITオタクや投機家ではなく)一般人をターゲット層に据えた年のようにも感じた。市井の人が暗号資産にお金をつぎ込むよう勧められ、特に無防備な人を標的にしているように思えるプロジェクトが山とあることに気づき始めた。例えば、金銭的な苦境から抜け出すために怪しげなローンを組むよう促す無規制のアプリや、退職金を暗号資産に「投資」するのを助けると約束するプロジェクトなどだ。

 このトピックについてもう少し学び始めると、次々と詐欺やペテンに出くわした。毎日のように巨大プロジェクトがハッキングされ、誰かが何かを立ち上げてお金を持ち逃げし、何らかの技術で暗号資産のウォレットが侵害されている。けれど、ニュースは瞬時に消えていった。Twitterや短い見出しで見たかと思うと、SNS(交流サイト)と報道機関の関心が次へ移り、あたかも何も起きなかったかのように消え去る。

 そこで、事実上すべての用途について、この技術がいかに不適切かを世に示すため、そして手を出そうとしたときにどれほど多くの人が詐欺被害に遭っているかを示すために、こうした惨事をすべて1カ所に集めることが本当に有益で意味を持つことに気づいた。

この記事は会員限定(無料)です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
6
この記事をいいね!する