
米グーグルの検索が死にかけていると論じるブログ投稿がニュースサイト「Hacker News」のトップ記事に躍り出て、大きな議論に火をつけた。グーグル検索は本当に没落するのか……。
米グーグルによる検索の没落を予想する新たな記事は毎月のように出てくるが、「グーグル検索が死につつある」と題したDKBというブロガーの投稿は、それまでの記事とは読者の反応が違った。2022年2月15日にニュースサイト「Hacker News」のトップ記事に躍り出て、既に同サイト史上11番目に賛同票の多い記事になり、1500件以上のコメントが寄せられている。
投稿の中核的な議論は、多くの人が古き良きグーグル検索の結果に失望し、人によっては不信感を抱くようになったため、今では検索クエリーの末尾に「reddit(レディット)」と一言付け加えるようになった、というものだ。こうすることで、グーグルと同社のウェブ巡回ボットが見る情報の世界を検索する代わりに、大手掲示板サイト「Reddit(レディット)」で議論された話題の世界から情報とリンクを得る。これもかなりの量の情報になる。
広告収入を重視し、検索の質が著しく低下
「人はなぜレディットに絞って検索しているのか」。ブログ投稿はこう問いかける。「短い答えは、グーグル検索の結果が明らかに死につつある、ということ。長い答えは、ウェブの大半があまりにも不確かで信用できなくなった、ということだ」。
DKBはTwitterのダイレクトメッセージ経由で、ファスト・カンパニーに「特にこの数カ月、グーグル検索の質について愚痴をこぼす投稿がたくさんあった」と語った。DKBの本名はドミトリ・カイル・ブレレトンといい、人材採用プラットフォーム「Gem」で働く26歳のソフトウエアエンジニアだ。
「この投稿が他と違うところ、そして私がこの投稿を書いた理由は、誰もが検索結果がひどいことについて話しているが、それがなぜ起きたのかを十分に説明する人が誰もいなかったためだと思う」(ブレレトン氏)
ブレレトン氏の主張の最初の柱は、グーグルは検索結果を示すページで、検索結果の一番上の一等地を含め、あまりに多くのスペースを広告に割いている、ということだ。同氏は、グーグル創業者のラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン両氏が早い段階でこの利益相反を認識していたと指摘する。2人は1998年に発表した論文で、広告は優れた検索結果の表示と目的が相反する可能性があると認めていた。
「我々は、広告によって賄われる検索エンジンは本質的に広告主の方へ偏り、消費者のニーズから遠のくと見ている」。ペイジ、ブリン両氏は論文にこう書いた。「さらに、広告収入は往々にして質の低い検索結果を提供するインセンティブを与える」とも。
もちろん、両氏が論文を書いたのは、グーグルが検索エンジンをマネタイズ(収益化)する何年も前のことだ。同社が検索広告を掲載し始めたときには、広告は検索用語に基づくテキストベースのターゲティング広告で、検索結果の右側に表示された。こうした広告は、当時ほかの検索エンジンによって掲載されていたバナー広告よりも、はるかに控えめだと考えられていた。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー