
2000年代初頭に一世を風靡した仮想空間「セカンドライフ」を提供する米リンデンラボが今、巨大ハイテク企業に支配されるメタバースに代わる存在として、自社を位置付け始めた。そんな中、創業者のフィリップ・ローズデール氏がアドバイザーとして戻ってくる。セカンドライフは現在のメタバースに対して、何を目指すのか。
多くの人にとって、ハイテクゲーム業界が最近のメタバースに示す執着の大半は、奇妙なほど馴染(なじ)みがあるものに感じられる。鳴り物入りで打ち出されるメタバース体験は、米リンデンラボによって2000年代初頭に作られたオンライン仮想世界「セカンドライフ」にそっくりに見えるからだ。
ほぼ20年の経験と黒字経営の実績
セカンドライフは今、運営開始から20年目に入っている。月間アクティブユーザー数は100万人に満たないものの、黒字を確保してきた。そして今、ますます多くの関心と投資がメタバースの概念に振り向けられる中、過去の遺物だと思われたくないセカンドライフは、仮想空間という領域において自己主張を強めている。運営するリンデンラボは豊富な経験といくつかの特許を持っており、多くの人が訪れたがる仮想空間の構築に、セカンドライフでの実践が役立つかもしれないからだ。
リンデンラボには最近、かつての躍進の立役者が復帰した。厳密に言えば「取り戻した」と言えるだろう。リンデンラボを去ってから10年以上が経過した今、創業者のフィリップ・ローズデール氏がアドバイザーとして戻ってくるのだ。
ローズデール氏は近年、ハイ・フィデリティーという名の新たな空間音響企業の仕事に勤(いそ)しんできた。同社はアイリーナ・ハイバーガー、ライアン・カーフ両氏と共同で創業したスタートアップ企業で、その技術は先駆的な音声コミュニティーアプリ「Clubhouse」の空間音響を可能にするために利用されている。
リンデンのアドバイザーとして、ローズデール氏は商品開発に専念し、未来のメタバースのセカンドライフ版を形作ることを目指す。経営のかじ取りは引き続き、20年にリンデンラボを買収したブラッド・オバーワガー会長が担う。
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