
米ナイアンティックと任天堂が新たに市場に投入したAR(拡張現実)ゲーム「ピクミンブルーム」は、大ヒットした「ポケモンGO」とは多くの点が異なるばかりか、正反対を志向している面も多い。何より、多くの人がもっと楽しめる散歩に出かけるようにしたいと思っている。
AR(拡張現実)ゲーム「ポケモンGO」の驚異的な成功の後、任天堂の知的財産をベースにした米ナイアンティックの次のスマートフォン向けARゲームは少し静かなものになろうとしている。
両社は2021年10月下旬、アップルのOS(基本ソフト)「iOS」とグーグルの「Android」向けにARゲーム「ピクミンブルーム」の配信を世界各国で順次開始した(日本では11月1日配信開始)。任天堂のゲーム機向けに制作されてきた、少々風変わりなゲームシリーズに基づく新作ゲームだ。ポケモンGOがリアルな世界の人気スポットでポケットモンスターを捕まえるようプレーヤーに促したのに対し、ピクミンブルームはもっと受動的な遊びで、プレーヤーは散歩に出かけるたびにピクミンという植物のような生命体を育てることができる。
ピクミンブルームはナイアンティックと任天堂の3年越しのコラボレーションの成果であり、ナイアンティックがARのレンズを通して世界にどうフィルターをかけたいと思っているかを示す一例だ。米国のフェイスブックやエピックゲームズ、ロブロックスのようにVR(仮想現実)を生み出そうとする代わりに、ナイアンティックは、ピクミンブルームのようなゲームが物理的な世界を少しだけ心地よい場所にできると考えている。
「狙いは、ある特定の味わい、特定の感触を与えてくれるものを世界に置くということだ」。ナイアンティック創業者のジョン・ハンケCEO(最高経営責任者)はこう語る。「ピクミンはそうしたものの素晴らしい例だと思う」。
ナイアンティックがピクミンを選んだ理由
最新のゲームに使うことができたありとあらゆる任天堂の資産の中で、ピクミンはナイアンティックにとって決して自明の選択肢ではなかった。
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