
スウェーデンの家具大手イケアが「BNPL(Buy Now, Pay Later)」ブームに乗り、安価なアイテムを後払いで買うのを容易にしようとしている。これは実際、消費者に恩恵をもたらす施策と言えるのか?
スウェーデンの家具大手イケアで高価なソファや食器棚セットを買うときには、分割払いで購入できる。今度はラグやランプのような少額アイテムも後払いで買えるようになる。
イケアを傘下に抱えるインカ・グループが2021年8月末、「BNPL(Buy Now, Pay Later)」などの金融サービスを提供するジフィティ(Jifiti)という名の企業に2000万ドル(約22億円)以上投資することを発表した。インカの声明によると、ジフィティとの新たな提携は、イケアの商品を購入し、時間をかけて代金を払う選択肢を顧客に与えることになる。
これは小売業界の大きなトレンドの一環だ。スウェーデンのクラーナ(Klarna)や米アファーム(Affirm)、オーストラリアのアフターペイ(Afterpay)といったフィンテック系企業が、顧客が衝動的に買い物をし、支払いの心配を後回しにするのを容易にしているからだ。だが、こうしたサービスは本当に、長期的に顧客にとって良いことなのだろうか。
ジフィティは12年に、小売企業が来店客に対してギフトカードやレジストリーサービスを提供できるようにする企業として立ち上げられた。イケアや米ナイキなどが初期の顧客企業だ。だが、ジフィティ共同創業者のヤーコブ・マーティンCEO(最高経営責任者)は、小売業界に身を置くパートナー企業に対する金融サービスの提供に、大きな商機が潜んでいることがすぐに明らかになったと言う。
現在、ジフィティの本業は、小売店で買い物をする顧客に、融資サービスを提供することだ。ジフィティはこうした取引を可能にする技術を提供することで、小売企業が顧客の体験を自社ブランドで包み込めるようにする。このため、イケアで支払い手段にBNPLを選んだときには、イケアがそのサービスを提供しているように見えるわけだ。
爆発的な成長を遂げるBNPL市場
BNPL市場は過去10年間で爆発的に拡大し、数十社の企業が小売店と手を組み、顧客が支払いを分割し、後払いできるようにしている。オンラインショッピングが急増した新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)中に、顧客がこうしたサービスに殺到した。
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