米ファスト・カンパニー

ビデオ会議サービス「Zoom」を運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは、リモートワークの普及によって大きく飛躍した。今、人々が職場へ戻ったときのために、事業構造を再設計している。狙っているのは、米スラック・テクノロジーズや米マイクロソフトの縄張りだ。

Zoomといえばビデオ会議サービスの代名詞だったが……(写真/Shutterstock)
Zoomといえばビデオ会議サービスの代名詞だったが……(写真/Shutterstock)

 2020年の1年間で、米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは、知る人ぞ知るビデオ会議サービスの会社から、誰もが知る著名企業へと変貌を遂げた。在宅勤務を強いられた企業の従業員の多くは、ビデオ会議サービス「Zoom」がライフラインになることに気づき、その結果、ズームへと多くのお金が流れ込んだ。

 現在、1日当たりのユーザー数は3億人以上。売上高は、20年末から21年1月までの3カ月間だけを見ても、前年同期比369%を達成した。コロナ禍が本格化した20年春のころに比べて成長率は鈍っているものの、それでもまだ、どんな尺度で見ても驚異的な成長を継続しているといえる。

十数もの新たな機能と商品・サービスを一斉に発表

 だが、ズームは今、新たな課題を抱えている。何千万人もの労働者がリアルな職場へ戻り始める中、自らが不可欠な存在であり続けるために、どう適応するのか――。

 その答えがこのほど明らかになった。会社の事業領域を大きく広げる十数もの新たな機能と商品・サービスを一斉に発表したからだ。ズームはもうリモートワークだけに最適化した企業ではない。今後は、オフィスの最新トレンドである「ハイブリッドワーク」への最適化を図る。企業が新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)の真っただ中でオフィスを再開したとしても、従業員の多くは週に数日しか出社せず、残りの日は自宅で働くからだ。

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