米ファスト・カンパニー

米シカゴ市長のロリ・ライトフット氏は、シリコンバレー(SV)から逃げ出している技術者を招き入れ、「ハイテク業界の人材・スタートアップ企業・投資」に優しい場所として、シカゴの評判を高め、新たな地位を築こうとしている。

エンターテインメントが楽しめるシカゴの繁華街(写真提供/Shutterstock)
エンターテインメントが楽しめるシカゴの繁華街(写真提供/Shutterstock)

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)は、ハイテク業界の逸材が集うメッカとしての米国西海岸の諸都市の優位性を大きく揺るがした。技術系の仕事がオフィス空間から仮想空間へ移ると、一大ハイテクセンターで暮らす費用便益の計算が突如一変したからだ。

 法外な家賃を払うことが、もはや意味をなさなくなった。カリフォルニア州では、ハイテク系の人材がサンフランシスコから一斉に逃げ出すと、1LDKのマンションの家賃が月3300ドル(約36万3000円)から2400ドル(約26万4000円)に下がった。多くの技術者は、これまで通りの給料を受け取りながら、家族が暮らす、馴染(なじ)みのある故郷へ戻った。そしてパンデミックが収束を迎えようとしている今、この暮らしを捨ててオフィスへ戻る気にならない人が多い。

 テキサス州オースティン、ウィスコンシン州マディソン、フロリダ州パームビーチなど、多くのハイテク集積地がこうした離散技術者を新たに獲得しているが、イリノイ州シカゴもこの人材の一部を呼び込みたいと考えている。ロリ・ライトフット市長は2021年7月、パンデミック発生後初となる出張でサンフランシスコを訪れ、ハイテク系の人材と投資家にシカゴを売り込んだ。

 「私たちはなりふり構わず、多少の誇張を交えてでもシカゴをより魅力的な街として伝えています」。ライトフット氏は筆者に、こう話してくれた。「私たちとしては非常に意図的に、『考えてみたらSVやベイエリアにいる必要はないのかもしれない』と気付き始めた人たちの会話の中に、シカゴが必ず出てくるように仕向けているのです」。

シカゴはユニコーンを輩出する拠点となりつつある

 パンデミックの継続を踏まえ、既に32社の企業が、シカゴに拠点を設けたり、主に西海岸から移転してきたりした、とライトフット氏は言う。ここにはハイテク企業のほか、ライフサイエンス企業(SOLVDヘルス)や物流企業(USエクスプレス、フロック・フレイトなど)が含まれる。検索大手の米グーグルは15年にシカゴに拠点を設け、19年にも新たなオフィスをオープンした。クーポン共同購入サイトのグルーポンと料理宅配大手グラブハブはシカゴ生まれだ。

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