
これまで開催されてきたオリンピックには、公式ロゴが存在する。それらの中には、開催期間前後だけにとどまらず、エキサイティングなブランドとして定着したものもある。6人の著名グラフィックデザイナーに、オリンピック史上最も優れた公式ロゴを特定してもらった(実際のロゴデザインは文末の「オリジナル記事はこちら」からご覧いただけます)。
2021年のオリンピックには、混乱期にふさわしいロゴがある。新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するために20年に予定されていた大会を延期した後、組織委員会は21年の開催に合わせてロゴをアップデートしないことを決めた。その結果、2020という数字が書かれた格子柄の円のアイデンティティーは、時代遅れな雰囲気を醸すと同時に、極めて今日的な感じがする。新型コロナが依然、目の前の明白な脅威だということを嫌というほど思い出させるからだ。
常にこうだったわけではない。オリンピックは過去1世紀で最もエキサイティングなブランドアイデンティティーをいくつか生み出した。米国人デザイナー、ランス・ワイマン氏が幾何学的なオプティカルアート(オプアート)に触発されて手がけた1968年メキシコシティ大会のブランディングを例に取るといい。あのロゴは、大会の最後の金メダルが選手の首にかけられてから50年以上たった今もまだ、メキシコの首都のあちこちで見かける。
オリンピックの開催はかねて、主催都市が自分たちの希望と野心を世界に伝える機会になってきた。そして特に優れたオリンピックロゴは歓迎委員会のように、視聴者を誘い、その都市についてもっと学びたい気持ちにさせる。
米ファスト・カンパニーは6人の著名グラフィックデザイナーに依頼し、オリンピック史上最も優れた公式ロゴを特定してもらった。ワイマン氏の手による68年大会の象徴的なブランディングや64年東京大会の(今大会より断然成功した)ロゴなどが選ばれた。
■64年東京大会
第2次世界大戦後の日本の再生を象徴しているのか、真っ赤な巨大な太陽が金色の五輪の上にそびえている。これは再生と希望、そして夏季オリンピックの理想のシンボルだ。だが、即座にそれと認識でき、記憶に残る大会のシンボルでもある。この要素は国際的なイベントに欠かせない必須条件だ。
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