米ファスト・カンパニー

東京オリンピックにも出場する米国の陸上選手、アリソン・フェリックス選手の新会社セイシュは、これまでスポーツの世界を動かしてきた“男性志向のシューズ企業”に代わる存在になることを目指している。

自分のためのスポーツシューズを持つ女性のイメージ(写真提供/Shutterstock)
自分のためのスポーツシューズを持つ女性のイメージ(写真提供/Shutterstock)

 アリソン・フェリックス氏は、陸上競技で獲得したメダル数が史上最も多いオリンピック選手だ。だが数年前、ある問題を抱えていた。競技のために履くシューズがなかったのだ。

 2019年にメインスポンサーの米ナイキとの関係を公然と絶った。妊娠・出産期の保護措置を求めたにもかかわらず、ナイキ側に協力してもらえなかったときのことだ。数カ月後、女性用アクティブウエア大手アスレタと新たなスポンサー契約を結び、同社はアリソン・フェリックス氏のことを、アスリートとして、そして母親として支援することを誓った。

 だが、アスレタは競技用のシューズを作っていなかった。ではアリソン・フェリックス氏は次のレースで何を履いたらいいのか。

 「アリソンと契約したがらなかったブランドのために、タダで広告するなんていうことは絶対に嫌だった」。アリソン・フェリックス氏の兄でマネージャーを務めるウェス・フェリックス氏はこう語る。「ある日、妹を見て、こう言ったんですよ。自分たちのシューズ会社をつくったらどうだろうか、って」。

 兄妹がやったのは、まさにそれだった。アリソンとウェスのフェリックス兄妹は20年、スポーツの世界を動かす男性志向のシューズ企業に代わる存在になることを目指す新会社セイシュ(Saysh)を立ち上げた。東京オリンピックでは、セイシュのデザイナーがアリソン・フェリックス氏のために作ったカスタムメードのスパイクシューズを誇らしげに履く。

 そして21年9月、セイシュは初めて一般向け商品を発売する。女性の足特有の骨格に合わせて作られた150ドル(約1万6500円)のスニーカーだ。併せて、運動メニューやデジタルコンテンツ、そしてアリソン・フェリックス氏自身を含む他のメンバーと交流する機会をサブスクライバーに与える、オンラインコミュニティーも立ち上げる。

思い切ってファミリービジネスへ舵(かじ)を切る

 35歳のアリソン・フェリックス氏は世界有数の陸上競技選手で、これまでにオリンピックで通算6個、世界選手権で通算11個の金メダルを獲得している。そのキャリアの大半を通して露出を控え、競技に専念してきたが、この2年間で、率直な物言いをする女性の擁護者として頭角を現した。

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