米ファスト・カンパニー

多額のAI(人工知能)投資を行った後、米アマゾン・ドット・コムは2020年に偽造品を出品しようとする試みを約100億件阻止したと話している。だが、買い物客はそれでも、自分が購入しようとしている商品が偽造品でないかどうか、手間をかけて注意すべきだ。

米アマゾン・ドット・コムのECサイト上には、高級ブランド品だけではなく、石鹸(せっけん)や液体ミルク、タオルなどの日用品にまで、偽造品があふれ返っているといわれる(写真提供/Shutterstock)
米アマゾン・ドット・コムのECサイト上には、高級ブランド品だけではなく、石鹸(せっけん)や液体ミルク、タオルなどの日用品にまで、偽造品があふれ返っているといわれる(写真提供/Shutterstock)
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 米アマゾン・ドット・コムの買い物客は用心した方がいい。「ニュートロジーナ」の石鹸(せっけん)から「ドゥーナ」のベビーカーに至るまで、何かを買ったら偽造品をつかまされる可能性がある──。

 アマゾンが公表した新たな報告書は、2020年に偽造品の出品を約100億件阻止し、前年の約60億件から大きく増えたことを明らかにした。そして20年にはアマゾンの倉庫で約200万点の偽造品を廃棄処分したという。

 偽造品について調査している研究者らは、ほぼ1兆ドル(約109兆円)相当の偽造品が世界経済にあふれ返っていると試算している。こうした専門家は、アマゾンで販売されている偽造品の大半は、ブランドバッグのコピー商品などではなく、「ダヴ」の石鹸や「シミラック」の液体ミルク、「ハイドロフラスク」のボトルのような日用品だと話している。

 こうした偽造品は、正規ブランドが製造する商品と全く同じに見えるが、規制されていない安価な材料で作られている。偽造品が消費者に害を及ぼすこともある。4歳児が「マグフォーマー」の偽造玩具の磁石を飲み込んでしまった後、結腸と腸の一部を切除しなければならなかったケースもあった。

米国に入ってくる偽造品のざっと8割は中国と香港から

 では、一体誰が時間をかけて、比較的安い家庭用品の偽物を作っているのか。アマゾンの偽造品問題について研究した米ノースカロライナ州立大学のロバート・ハンドフィールド教授は、想像できる限り、ありとあらゆる消費財を作ることを目的とした闇経済が存在すると言う。ここには洗濯用洗剤からランニングシューズまで、すべての商品が含まれ、最終的にアマゾンのようなインターネット上のマーケットプレイスに出回る(恐ろしいことに、偽の航空機部品や新型コロナウイルスのワクチンを作り、他の闇サイトで販売している偽造業者も存在する)。

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