WPPがコロナ後に「広告業界のLVMH」になりたいワケ(画像)

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るったこの1年で、クライアントの要求がいかに変わったか、そして世界最大の広告代理店グループである英WPPは未来にどう適応していくのか──。WPPのマーク・リードCEO(最高経営責任者)に聞いた。

デジタルへのシフトを進める世界最大の広告代理店グループ、WPPのイメージ(写真/Shutterstock)
デジタルへのシフトを進める世界最大の広告代理店グループ、WPPのイメージ(写真/Shutterstock)

 2018年に英WPPのCEO(最高経営責任者)の座に就いて以来、マーク・リード氏は、世界最大の広告代理店グループでさえ避けて通れない広告ビジネス激動の時期に、トップに君臨してきた。

 例えば、数十年の歴史がある代理店ブランドを比較的新しいデジタルマーケティング会社と統合させてきた。ジェイ・ウォルター・トンプソンとワンダーマンが統合してワンダーマン・トンプソンとなり、Y&R(旧ヤング・アンド・ルビカム)とVMLが統合してVMLY&Rになった。20年は傘下のグレイとAKQAの統合により、AKQAグループという新会社が誕生した。

 持ち株会社の傘下に多くの事業会社をぶら下げるWPPのモデルは、各方面から圧力を受けている。アクセンチュアやデロイトといった大手コンサルティング会社が攻め込んでくる一方、伝統的に巨大なWPPの市場シェアの一部を奪い取ろうとするクリエイティブな独立系代理店も次々と誕生している。

 リード氏はこのほどファスト・カンパニーの取材に応じ、WPPと傘下ブランドが現在どんな課題に直面しているのか、クライアントのニーズと需要がいかに変わったか、そしてWPPとして将来にどう適応することを目指しているのかについて語った。

ファスト・カンパニー(以下、FC) 過去1年はWPPにどんな影響を与えましたか。

マーク・リード氏(以下、リード氏) 多くの意味で、我々がやることで変わらなかったことは何一つないと思う。生活やビジネスが通常に戻る頃には、ノーマルが何だったかを忘れ去っているだろう。多くの人と企業にとって厳しい1年だったが、厳しい時期こそ、最も革新を遂げるときだ。好調な時期には大抵、これまでと同じようなやり方を続ける気持ちになるからだ。

 この1年は、組織としての我々の真価が多くの意味で試された。ビジネスの多くの側面が変わった。クライアントのために手がける仕事のタイプ、働き方、その仕事に取り組む場所(ただオフィスにいるか在宅で働くかにとどまらない、はるかに甚大な変化)、それに技術の使い方──。この1年は既に起きていたトレンドを加速させたと思う。

この1年でデジタルメディアの広告市場は劇的に成長した

 広告市場を見ると、明らかにデジタルメディアの成長が劇的に加速した。デジタルメディアは20年で5%成長し、21年は恐らく15%以上伸びる。このため、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)から抜け出すときには、以前に比べて市場が20%大きくなっているだろう。

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