
米ファスト・カンパニーの「最もイノベーティブな企業サミット」で、著名デザイナーのレベッカ・ミンコフ氏と米ショッピファイのハーリー・フィンケルスティン社長が、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)がいかに小売りに影響を及ぼし、どんな企業が永続するかについて語った。
今から10年前の2011年、「D2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)」がクールで斬新なビジネスモデルとして出現した。米エバーレーンや米ワービーパーカーといった新興企業が開拓したモデルで、こうした企業はオンライン上で顧客に商品を売り、中間業者と位置づけられる小売企業を排除した。最近では、D2Cモデルが次第に標準になりつつある。
新型コロナウイルスのパンデミックは小売業界を打ちのめし、百貨店は一時閉鎖を余儀なくされ、一部の小売企業は経営破綻に追い込まれた。こうした小売大手と運命を共にしていたブランドが最も大きな打撃を受けた。一方、D2Cモデルに転換できたブランドは、事業をうまくコントロールし、生き残ることができた。
ファスト・カンパニーがこのほど主催したイベント「最もイノベーティブな企業サミット」で、著名ファッションデザイナーのレベッカ・ミンコフ氏とカナダのネット通販支援大手ショッピファイのハーリー・フィンケルスティン社長は、パンデミック後の世界では、自転車ブランドのSchwinn(シュウイン)やケチャップのHeinz(ハインツ)といった老舗ブランドを含め、すべてのブランドがD2Cになると予想してみせた。
新型コロナでゲームの状況が一変
20年の年初には、「Rebecca Minkoff」ブランドの売り上げの7割が、米ブルーミングデールズや米サックス・フィフス・アベニューといった百貨店の卸売注文から来ていた。そして同年3月、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が敷かれると、こうした卸売注文がひとつ残らず、すべてキャンセルされた。ミンコフ氏のブランドは突如、存亡の危機に陥った。同氏は「売り上げの大半が卸売りから来ているときには、日々、集中するのはそこだ」と振り返る。
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