
小売業界を代表する超ビッグネームからの1500万ドル(約15億7500万円)の投資で、これまで使われていた「使い捨てプラスチック袋」に代わる9つの有力な代替製品が浮かび上がった。
米国人は年間1000億枚もの使い捨てプラスチック袋を捨てている。このため2020年半ばにウォルマート、ターゲット、クローガー、CVSヘルスをはじめとした米国屈指の小売大手が手を組み、計1500万ドル(約15億7500万円)を投資して、「ビヨンド・ザ・バッグ・イニシアチブ」を立ち上げた。これは、使い捨てプラスチック袋に代わる買い物用の袋に投資し、量産化を図る野心的な計画だった。
21年2月16日、同プロジェクトが、全世界から集まった数百件の応募作品から選んだ9つの受賞作を発表した。解決策は幅広く、地球の土の中に消えていく生分解性バッグもあれば、再利用をゲーム化するインターネット接続型バッグもある。幅広い取り組みを選ぶのは責任回避のように思えるかもしれない(プラスチック袋に取って代わる1つの完璧な代替品はどこにあるのか?)。だが、小売業が直面している現実は、いまだかつてないほど複雑だ。
複雑な小売経済、多様なアプローチが必要
「1つの答え、ワンサイズですべてに合う解決策は存在しない」。著名デザイン会社IDEOとともに今回のコンテストを企画・実行した投資ファンド、米クローズド・ループ・パートナーズで、傘下にあるセンター・フォー・ザ・サーキュラー・エコノミーを率いるケイティ・デイリー氏はこう話す。「プロジェクトに参加したパートナー企業の店では、サッカーボールから食料品、パッケージ化された日用品、コンピューターのキーボードまで、何でも買うことができ、さまざまな形で自宅に持ち帰る必要があるモノがいくらでもある」。
しかも、店外での商品受け取りや家庭への配送など、異なる背景ごとに異なる包装が必要になることを考える前の段階で、この状況だ。こうした問題に輪をかけるように、消費者の期待がさらに重くのしかかる。大手スーパーのクローガーで野菜を多少買うのであれば、薄っぺらな袋でいいかもしれないが、百貨店で500ドル(約5万2500円)のドレスを買ったり、レストランから熱々のフォーを持ち帰ったりする場合はどうか。こうした場面では、使い捨てのプラスチック袋はそもそも正しい解決策ではなかった。コンテストの受賞作に、同じ問題に対して異なるアプローチを取るあらゆるタイプの代替バッグが含まれているのは、このためだ。
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