
ベランスタジオのことを聞いたことがある人はいない。では、同社が初めて世に送り出したゲームはなぜ、これほど大ヒットしたのか。どうやって任天堂をパートナーにすることができたのか――。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)で多くの人々が巣ごもりする中、2020年はゲーム業界にとって驚異的な1年となった。「アニマルクロッシング(あつまれ どうぶつの森)」は新型コロナから逃れる安全な島を提供した。「サイバーパンク2077」は探検できる未来のSF都市を構築した。「フォートナイト」はハリウッドの派手なイベント攻勢を続け、今度は米マーベルスタジオの映画のヒーローがゲームに登場した。
だが、20年の最大のサプライズは同年9月に訪れた。任天堂が全く予想外のゲーム「マリオカート ライブ ホームサーキット」を発表したときのことだ。マリオカートなら、誰もが見たことがある。だが、この「ライブ」バージョンは、リモコンで操作する本物の車の運転席にユーザーを置き、MR(複合現実)によっておかしなレース場と化した自宅の居間を飛ばせるようにした。
ゲームの販売元は任天堂だが、中核技術を開発したのは、同ゲームを市場に投入するために任天堂と協力した米ニューヨークのベランスタジオ(Velan Studios)だ。マリオカートの登場まで、誰もベランの名前を聞いたことがなかった。それには、もっともな理由がある。4年間、水面下で開発を進めてきたスタートアップ企業だからだ。
だが、ベランは一体どうやって、最初のクライアント企業として任天堂を獲得できたのか。実はこれは20年以上かけて築かれたパートナーシップだった。
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