米ファスト・カンパニー

イムラン・チョウドリ氏とベサニー・ボンジョルノ氏はアップル最大のヒット商品の開発に携わった。そして今、2人で立ち上げた新興企業ヒューメーンが野心的で謎に包まれたものの開発に取り組んでいる。

UI(ユーザー・インターフェース)に特色のある「次のiPhone」と称される製品を開発中(写真/Shutterstock)
UI(ユーザー・インターフェース)に特色のある「次のiPhone」と称される製品を開発中(写真/Shutterstock)

 2017年、米アップルでデザインと技術を手がけるトップ幹部2人が野心的なビジョンを胸に、ベンチャーを立ち上げるために会社を去ることにした。その野望とは、次の大きなコンピューティング・パラダイムを築くことだ。

 「ヒューメーン(Humane)」という名のスタートアップ企業が今、謎に包まれた商品の開発を続けるため、ベンチャー投資のシリーズAラウンドで3000万ドル(約31億5000万円)の資金を調達したと発表した。共同創業者のイムラン・チョウドリ、ベサニー・ボンジョルノ両氏は何に取り組んでいるのかを明かすことを拒むが、2人の開発する新商品は、アップルのスマートフォン「iPhone」と同じようなインパクトを人々に与えると考えているようだ。共同創業者の1人が初代iPhoneのインターフェースを設計したことを考えると、2人の見込みはあながち的外れとはいえなさそうだ。

iPhoneやiPad開発の立役者が抱く野望

 「コンピューティング・プラットフォームの観点に立つと、我々は今、イノベーションの減退を招くような、一定レベルの成熟化の段階に達している」。ヒューメーンの社長兼会長で、アップルに勤めた21年間にiPhoneとタブレット端末「iPad」のUI(ユーザー・インターフェース)デザインに取り組んだチョウドリ氏はこう語る。「我々にとっては本当に、いかにしてバイタリティーをもたらすか、いかにしてコンピューティングに新たな機会をもたらすかということ。いかにして変化を起こすか、ということだ」。

 ヒューメーンが開発中の商品について、少なくとも多少の詳細を明かしてもらうまでは、消費者に与えるだろうその潜在的なインパクトについて何らかの意見を持つのは不可能だ。アップルで携帯音楽プレーヤー「iPod」開発の先頭に立ち、iPhone開発にも携わったトニー・ファデル氏は10年以上前にアップルを去った。そして11年に米ニューヨーク・タイムズ紙に語ったのを皮切りに、「大きな課題の解決に巨大なインパクトを与える可能性がある商品」について喧伝(けんでん)し始めた。同氏の立ち上げた新興会社ネストが作ったのは、ふたを開けてみればサーモスタットだった。だが、何を開発しているにせよ、またネストの例を踏まえても、ヒューメーンは間違いなく世間の期待値を引き上げている。

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