
企業価値が70億ドル(約7350億円)にのぼるフィンテック大手の米クレジットカルマは、ユーザーとの直接関与を狙う「デジタルバンキング」サービスを提供する、ネオバンクとも称される数多くの新興企業の中で、とりわけ有力な1社だ。
無料で信用スコアを得られるというユーザーに対する約束を、70億ドル(約7350億円)以上の価値があるビジネスへ発展させた米クレジットカルマが、今度はユーザーに当座預金口座を提供する「ネオバンク」の一群に加わる。新しい金融商品は、1億人の同社会員が利用できる貯蓄口座として2019年に立ち上げられた「クレジットカルマ・マネー」に組み込まれる。
銀行がユーザーに提供してきた機能をデジタル化した「デジタルバンキング」サービスは過去数年間で勢いを増しており、そこへ新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の発生が加わった。ネオバンクが提供するデジタルバンキングに関わる選択肢に対する消費者の関心は加速的に高まる一方だ。米国と欧州では今、二十数社のネオバンクが存在し、ベンチャーキャピタルなどから合計で60億ドル(約6300億円)以上の調達に成功している。
クレジットカルマ共同創業者のケネス・リンCEO(最高経営責任者)は、自社バージョンのデジタルバンキングサービスについて、「これは金融サービスで取り残された人たちのための商品だと我々は考えている」と語る。
クレジットカルマ・マネーの当座口座は手数料を徴収せず、例えば請求書を支払う日程の最適化など、ユーザーが上手にお金を管理するのを手助けするよう設計された自動化機能を備えている。「チェッキング」と呼ばれるサービスから得られるデータは、いずれクレジットカルマが会員に対して、ローンやクレジットカードなどの金融商品のターゲット広告をもっとうまく配信することにも役立つ。
「クレジットカルマはずっと、人々が自分の信用度を最適化し、借り入れを最適化することの支援に専念してきた」とリン氏は言う。「我々は今、そのスペクトラムの反対側に向かっている。人々が将来のために貯蓄する一助になりたいと考えており、当座預金を加えた当座・貯蓄口座の提供がすべての要素を機能させる礎になる」。
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