
やっぱりお金持ちは違った――。ニューヨーク・マンハッタンの高級マンションの住人は今、そこに住む富裕層向け追加特典として、私設の救急治療室や自宅での簡易コロナ検査といった医療サービスを受けている。こうした新たな“格差”は定着し、後戻りできないものなのだろうか。
マンション1戸の最低価格が140万ドル(約1億5000万円)するマンハッタン東30丁目15番地のビルは、床から天井まで全面ガラス張りだ。そこの住人は、周囲の摩天楼を見渡すことができ、スパやプールを楽しみ、(2019年から)専用の私設救急治療室のメンバーシップを持っている。「マディソンハウス」として知られるビルは、今では自宅での新型コロナウイルスの検査を含む特別な医療ケアを住人向けに提供している多くの不動産の1つだ。
マディソンハウスが立つマディソン・スクエア・パークの北のノースマディソン(通称ノマド)地区は、近年、ガラス張りの高級マンションやきらびやかな屋上バーが居並ぶようになった旧商業地だ。マディソンハウスは、ノマドで最も高い住居用ビルであることを誇るが、その他の高級ビルと比べた場合、そのアメニティー(住環境・設備)はごく標準的だ。スパとフィットネスセンター、住人専用のクラブ、バー設備があり、すべてが柔らかな照明の光に覆われ、はちみつ色に輝いている。
だが、マディソンハウスがほかの高級ビルと一線を画すのは、新たにマンションを購入する人に、会員限定のプライマリーケア(総合診療)・救急医療設備「ソリスヘルス」を利用する1年分のサブスクリプションを提供していることだ。
パンデミック中にお金持ちはこうして安全を守る
「これが、以前からある標準サービスだとは言わない」。ロサンゼルス在住で、最近ソリスヘルス医療部長に採用されたスコット・ブラウンスティン博士はこう話す。「だが、多くの人が以前よりも家にいるようになり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に対して無防備だと感じたことから、自分の健康にもっと注意を払うようになり、コンシェルジュ式のケアを受けることを一層ありがたく思うようになったのではないか」
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