
米アイロボットが新たに投入する「アイロボットジーニアス」によって、新しい時代が到来するようだ。「脳」に当たる部分を交換することによって、掃除ロボット「ルンバ」が徐々に賢くなり、ユーザーの希望通りに部屋の掃除ができるようになる。掃除機のような手軽に買える家電製品であっても、これまでのようにハードウエアの機能ではなく、ソフトウエアの機能が、客の購買を左右する可能性が高まっている。
掃除ロボット「ルンバ」を20年近く販売してきた後、米アイロボットはハードウエアの先に目を向け、ライバル企業と一線を画そうとしている。
米国で87%、中国を除く全世界で67%と、掃除ロボット市場で圧倒的なシェアを誇るルンバの生産は続けるが、会社の戦略は、より優れたハードウエアよりもソフトウエアとサービスのほうに軸足を移そうとしている。2020年8月25日、アイロボットの「ホーム」アプリの刷新と、同社が「アイロボットジーニアス」と呼ぶ新しい清掃機能の投入で、この転換が始まった。
アイロボットジーニアスは、同社のユーザーに無償で提供される。だが、創業者兼CEO(最高経営責任者)のコリン・アングル氏は、目標はルンバと床拭きロボット「ブラーバ」を徐々に賢くすることだと述べ、「脳の交換」がいずれ、新しいサブスクリプションサービスによってサポートされるとほのめかした。
「ロボットはハンマーのような道具ではなく、パートナーだ」とアングル氏は言う。「だから、もっと良いパートナーになる努力を常に怠らなければ、我々は顧客と長期的な信頼関係を持つことができる。これにより、我々の提供するものが(ハードの販売ではなく)サービスだと感じるようになると確信している」。
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