米ファスト・カンパニー

既に英国とインドで展開している英ロジカリーが、米国でブラウザー拡張機能とアプリを投入する。2020年11月に実施される米大統領・議会選を控え、怒とうのように飛び交う誤情報の波を押し返すことが目標だ。

偽ニュースなどのファクトチェックは今後ますます重要になることを示すイメージ画像(写真提供/Shuterstock)
偽ニュースなどのファクトチェックは今後ますます重要になることを示すイメージ画像(写真提供/Shuterstock)
[画像のクリックで拡大表示]

 2020年4月下旬、英ガーディアン紙による調査報道は、ちまたに広まる次世代通信規格「5G」と新型コロナウイルスに関わる陰謀論の出どころが、イングランドの福音派牧師だったことを突き止めた。

 ジョナサン・ジェームズ牧師は音声データで、何の根拠もないまま、5Gの通信は米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が新型コロナウイルスのワクチンを誰が接種したかを追跡できるようにする技術であり、そもそもこのウイルス自体が5Gの悪影響を隠すための隠ぺい工作だったと主張していた。YouTubeやWhatsAppのような非公開のメッセージングアプリでは、5G反対派が、この説教のような録音は「元ボーダフォン経営者」のものだと喧伝(けんでん)し、その内容に一定の信ぴょう性を与えた。

 実際には、牧師は通信会社が5Gを導入し始めるずっと前の2014年に、1年足らず英ボーダフォンでセールスの仕事をしただけだとガーディアンは報じた。だが、同紙はこの陰謀論を単独で暴いたわけではない。フェイクニュースを根絶するためにAI(人工知能)とオートメーションと人間のファクトチェッカーを組み合わせる英の「Logically(ロジカリー)」というスタートアップ企業の助けを得ていた。

 ロジカリーは既に、過激派のコンテンツとデマ拡散キャンペーンを特定するためにインドと英国で政府機関と協力しており、今度は消費者向けのファクトチェックプロダクトとして、さらには誤情報の波に対処するために支援を必要としている組織や政府機関向けのサービスとして、米国で事業を開始する。

この記事は会員限定(無料)です。