パンデミック阻止費用は年300億ドル、新型コロナ対策より安い(画像)

感染症のパンデミック(世界的な大流行)が、主に人間と野生動物の交流から生じることは分かっている。財源を十分に確保して適切に投入すれば、自然ベースのパンデミック防止策は、現在の対症療法的な対策よりもはるかに安価に、将来、人間を守ってくれそうだ。

アジアで進んでいる森林破壊の実情のイメージ(写真/Shutterstock)
アジアで進んでいる森林破壊の実情のイメージ(写真/Shutterstock)

 1997~98年に、マレーシアの広大な雨林が伐採され、農場とヤシ油プランテーションに取って代わられたとき、森に生息していたフルーツコウモリが、既に一大産業となっていた養豚農家の隣にある果物農場に移動した。そこで致死性の高いニパウイルスがコウモリから豚へ、その後人間へと感染し、何十人もの人が命を落とした。

 2002~03年には、恐らくは野生動物を取引する「市場(いちば)」にいた動物を介して、中国で重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した。続いて豚熱(CSF、旧称・豚コレラ)、中東呼吸器症候群(MERS、ラクダから人間へ感染するコウモリ由来のウイルス)が発生し、エボラ出血熱(やはりコウモリと関係している可能性が高い出血熱)とジカウイルス感染症(サルから発見されたウイルス)の流行があった。

自然ベースの対策で「スピルオーバー」を阻止

 新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルス「SARS-CoV-2」の遺伝子は、コウモリおよびセンザンコウと関係しており、やはり野生動物を取引する市場を介して拡散した可能性がある。人間の何らかの活動によって自然が維持されたままの地域が縮小し続けるにつれ、さらに多くの病気が野生動物や家畜から人間へと感染する可能性が高まる。

 新しい研究が、こうした人間への感染が起きるのを防ぐために何ができるかを調べた。その結果、自然ベースのパンデミック防止戦略にかかるコストは、我々が今、新型コロナウイルスの感染防止対策にかけている費用より、数兆ドル(数百兆円)も少なくて済むことが分かった。