米ファスト・カンパニー

外部にリークされた社内メモによると、ECの巨人アマゾン・ドット・コムは従業員に対して、端末からTikTokを削除するよう指示していた。報道後、会社側は「手違いだった」とコメントした。だが、時既に遅しで、アマゾンの考え方の要点はもう世間に伝わっていた。

米中対立の間にいるTikTokのイメージ(写真/Shutterstock)
米中対立の間にいるTikTokのイメージ(写真/Shutterstock)

 米アマゾン・ドット・コムが2020年7月10日、中国発の人気動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の信頼性をめぐる議論に激震を走らせた。米CNNのブライアン・ファン、ザッカリー・コーエン両記者が、会社のメールシステムにアクセスできるすべての端末からTikTokを削除するよう、従業員に指示するアマゾン社内のメモのコピーを入手したからだ。メモは「セキュリティー上のリスク」を理由に挙げていた。

 10日午後になると、アマゾンの広報担当者はIT系メディア「ザ・バージ」のケイシー・ニュートン記者に、メモは「手違いで送信された」と語った。TikTokの広報担当は本誌ファスト・カンパニーの問い合わせに対し、アマゾンのコメントを参照するよう回答してきた。

 アマゾンがメールを送信する気だったか否かはともかく、同社の誰かが、アマゾンはTikTokがセキュリティー上の脅威だと考えているという内容の文書を書いたことに変わりはない。そして、アマゾンが従業員のTikTok利用禁止を検討したという可能性そのものが、TikTok騒動における新たな展開となる。

 米国では2020年、TikTokの潜在的なセキュリティー上の脅威について多くの議員が意見を表明してきた。TikTokの親会社は北京に本社を構える北京字節跳動科技(バイトダンス)で、中国政府と緊密なコネがあるといわれている会社だ。最も声高に、かつ最も執拗に警鐘を鳴らしてきたのは米共和党の議員で、ミズーリ州選出のジョシュ・ホーリー上院議員やテキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員など、セキュリティーよりも政治的な理由でTikTokを批判しているかもしれないタカ派だった。

この記事は会員限定(無料)です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
この記事をいいね!する