
「企業の社会的責任」はただの流行語である必要はない。「パタゴニア」や「ザ・ノース・フェイス」「REI」のような大手アウトドアブランドが、フェイスブックに対する広告出稿ボイコット運動の先頭に立つ動きは、最新の事例にすぎない。
2020年6月19日、ザ・ノース・フェイスは大手ブランドとして初めて、フェイスブックへの広告出稿ボイコットに加わった。
この動きは、「全米黒人地位向上協会(NAACP)」や「名誉毀損防止同盟(ADL)」のほか、「カラー・オブ・チェンジ」「フリープレス」「コモンセンス」「スリーピングジャイアンツ」といった市民権擁護団体と連帯したものだ。これらの市民権擁護団体は、自社のプラットフォーム上で人種差別主義とデマの拡散を可能にし、そこから利益を得ていることについてフェイスブックに責任を負わせることを狙った「#StopHateForProfit」キャンペーンに乗り出していた。
カラー・オブ・チェンジのラシャド・ロビンソン会長は声明で次のように述べた。
「我々は、フェイスブック上で白人至上主義や有権者抑圧、真っ赤な嘘を保護するマーク・ザッカーバーグ(フェイスブック創業者)のコミットメントに絶えず失望し、愕然(がくぜん)とさせられている。大手企業が人種間の平等を要求する一番の方法は、フェイスブックが同社プラットフォーム上で黒人社会に対してもっと責任を持ち、アカウンタビリティー(説明責任)を果たすようになるまで、お金を出さないことだ」
ザ・ノース・フェイスが支持を表明すると間もなく、パタゴニアとREI(レクリエーショナル・イクイップメント)が7月のボイコットに加わった。パタゴニアのマーケティング部門を率いるコーリー・ベイヤーズ氏は声明で次のように書いた。
「フェイスブックはあまりに長い間、プラットフォーム上の憎悪に満ちた嘘と危険なプロパガンダ(宣伝工作)の拡散を止めるための十分な対策を講じられずにいる。安全な選挙からグローバルなパンデミック(感染症の大流行)、人種間の平等まで、フェイスブック上で取り上げられる事柄についての利害があまりに大きいため、事態を傍観し、フェイスブックがデマの拡散と恐怖心と憎悪の助長に加担し続けるのを放置するわけにはいかない。全米の企業が今、20年秋に米国人が、自由で公正な選挙に参加できるように懸命に努力するなかで、我々が手をこまねき、問題に寄与している企業に、何らかの“資源”を与えることはできない」
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