米ファスト・カンパニー

広告は本当に死んだのか。ちまたの報道は相当大げさかもしれない。ここでは、ドローガ5やTBWA、ワイデン+ケネディなどの有力広告代理店のトップが何を考え、どのように前進しているかを紹介する。後編はドローガ5やTBWAの3人を取り上げる。

 本誌ファストカンパニーの連載企画「Shape of Tomorrow(明日の形)」では、新型コロナウイルス感染症時代がどのように業界を一変させているか、企業トップに業界内からの見解を聞いている。新たな世界秩序の中で失われたもの、そして得られるかもしれないものがある。

以前はできなくて、今ならできることは何か?

■ ジェイミー・ロビンソン(Jaime Robinson)
米ジョーン・クリエイティブの共同創業者兼CCO。グーグル、ネットフリックス、ピルズベリー、ユーチューブ、ファイバー・ワン、セーフオートを含むクライアントのために広告を手掛けてきた。

 我々は皆、集団として、一瞬息が止まるほど打ちのめされた。(今回のコロナ禍で)どれも同じに見える数々の広告を誰もが見た。言っておかねばならないが、私たちもやった。「こうした困難な時代には」という、ちょっと鼻につくCMを作った。ちょっと面白く、生意気な感じに仕上げたかったが、とにかく最初の2週間ほどは、すべてがリアクションか、あるいは絶望にかられての行動だった。

 私が思うに、今は1つの峠を越し、クリエイティブの領域では楽観論が広がっている感じがする。明らかに今は多くの人にとって悲惨な時期だが、この業界の文脈で言えば、前代未聞の創造性が発揮される瞬間になるかもしれない。我々のクリエイター、ストラテジストが打ち出してくるアイデアは、素晴らしいものだった。

 また、米国西部開拓時代のワイルド・ウエストのようなところもある。すべてのチャンネル、いわゆるゲートキーパーが脇へ追いやられ、エンターテインメントの世界では、映画監督のジョン・クラシンスキーが基本的に、米国で一番人気の番組司会者としてエレン・デジェネレスに取って代わっている様子などが見て取れる。クラシンスキーは6カ月前にそんなことができただろうか。恐らく、無理だったろう。彼は自分の創造性を発揮し、チャーミングで今の時代に合った良い番組を書いている。

 我々が自問しようとしていることは、以前はできなくて、今ならできることは何か、ということだ。今の状況がどれくらい続くかによって、ハリウッドの映画制作のパイプラインは空っぽになるだろう。これはブランドにとって、どうすれば自分たちがエンターテインメントを作れるかを検討するチャンスかもしれない。当社ではそのアイデアをクライアントと共有しており、ものすごくいい手応えを感じている。

 広告代理店としては常に、ブランドには観客にサービスを提供してもらいたい。時にはそれは実用性であり、時には救いを与えるビジネスイノベーションであり、時には人を楽しませることだったりする。当社は一緒に仕事をしているブランド各社とともに、全員が当初の打撃を受けた後、今再び立ち上がりつつある様子を目の当たりにしている。

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