米ファスト・カンパニー

広告は本当に死んだのか。ちまたの報道は相当大げさかもしれない。ここでは、ドローガ5やTBWA、ワイデン+ケネディなどの有力広告代理店のトップが何を考え、どのように前進しているかを紹介する。前編はワイデン+ケネディのCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)など3人を取り上げる。

自宅での仕事が新常態になるなど、大きな変化が社会と広告業界に生じているイメージ(写真/Shutterstock)
自宅での仕事が新常態になるなど、大きな変化が社会と広告業界に生じているイメージ(写真/Shutterstock)

 本誌ファストカンパニーの連載企画「Shape of Tomorrow(明日の形)」では、新型コロナウイルス感染症時代がどのように業界を一変させているか、企業トップに業界内からの見解を聞いている。新たな世界秩序の中で失われたもの、そして得られるかもしれないものがある。

「たわ言の死」、ブランドは一から出直しへ

■ コリーン・デコーシー(Colleen DeCourcy)
米ワイデン+ケネディの共同社長兼CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)。同社はまだ残っている独立系広告代理店としては世界最大で、ナイキ、フォード・モーター、マクドナルド、ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)、ウーバーテクノロジーズをはじめとした大手クライアントの広告業務を手掛けている。デコーシー氏は同社クリエイティブ部門のトップ。

 我々は以前、「皮肉の死」について話したことがあるが、私はこれ(コロナ禍)が「たわ言の死」となるかもしれないと思っている。キャンペーンや広告は何を成し遂げたのか。ブランドに何をしたのか。人々にとって何をしたのか――。

 企業が丸ごと吹き飛ばされていて、人々はとにかく予期できなかった障害にぶつかっている。その結果、広告代理店はクライアントの経営問題により、脆(もろ)い状況にある。

 クライアントの経営問題は往々にして、広告で是正できないほど大きい。今の状況にも楽観的な部分があると思うのは、この状況が長引けば長引くほど、多くの場面において、人々が抱くブランドの嗜好(しこう)が拭い去られるということだ。特定のブランドの歯磨き粉は私にとって大事ではなくなり、ただ歯磨き粉があればいいと思うようになっている。

 人々が再び外に出始めるようになったときには、ブランド企業は再び自らを証明し、自己紹介し、なぜ自社ブランドを選ぶべきかを打ち出すことになると思う。だから私は、期待も込めて言えば、クライアントはかつてないほど我々(広告代理店)を必要とすると思う。

 (ワイデン+ケネディの共同創業者のダン・)ワイデン氏は、有名な言葉を多々残している。私が転身してきたときに学び、今になって初めて理解し始めたと思っている1つの言葉は、「あなたが成長することを心の底から望んでいる唯一のものはカオス(混沌)だ」というもの。私は今、その言葉にしがみついている。

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