米ファスト・カンパニー

新型コロナウイルス感染症による危機で、米国などでは百貨店の破綻が相次いでいる。「ザ・イエス」は、頭痛の種なしで百貨店のバラエティーを提供するためにAI(人工知能)を駆使するショッピングアプリだ。

ジュリー・ボーンスティーン氏が手助けした米の老舗百貨店ノードストローム(写真/Shutterstock)
ジュリー・ボーンスティーン氏が手助けした米の老舗百貨店ノードストローム(写真/Shutterstock)

 百貨店は何年も前から衰退の一途をたどっており、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が実店舗を空っぽにした今、完全に死に絶えるかもしれない。だが、さまざまなブランドと商品を容易に見て回れるという百貨店のコンセプトは、まだ多くの買い物客の共感を呼ぶ。「The Yes(ザ・イエス)」という名の新しいアプリは、バーチャルな百貨店になるよう設計されている。

一流小売りブランドを率いてきたベテランが立ち上げ

 アプリの生みの親はジュリー・ボーンスティーン氏。この20年、マルチブランドの小売店がデジタルの世界に適応するのを手助けしてきた人物だ。百貨店ノードストロームやアパレル大手アーバンアウトフィッターズのECサイトの立ち上げを率い、その後、フランスの化粧品・香水専門店セフォラのCDO(最高デジタル責任者)を務めた。

 2年前に直近の勤め先だった米スティッチ・フィックスのCOO(最高執行責任者)の職を辞し、カースティン・グリーン氏率いるベンチャーキャピタル企業フォアランナーベンチャーズなどの支援者から3000万ドル(約31億8000万円)の資金を調達し、ザ・イエスの開発に乗り出した。そして2020年5月20日、米アップルの「アップストア」で提供を開始した。

 「生まれてこの方、ずっと百貨店を愛してきた」。過去20年間にわたって、一流の小売りブランドを率いてきたボーンスティーン氏はこう語る。「子供の頃から、毎週末、ショッピングモールに行くのが大好きだった。私の考えでは、私たちは今、未来の百貨店を築いている」。

 多くの意味で、ザ・イエスは音楽配信の「Spotify(スポティファイ)」や動画配信の「Netflix(ネットフリックス)」の戦略を参考にしており、顧客の好みに合ったレコメンデーションを提供する。ユーザーはまず、自分のスタイルについて簡単な質問に答えることから始め、アルゴリズムがAIと機械学習を駆使し、例えば好きな色からオフショルダーのドレスに対して抱く嫌悪感まで、顧客の美的な趣味を特定していく。