
ロックダウン(都市封鎖)により世界経済が厳しい状態に置かれているなか、何千社ものスタートアップ企業の命運は今、自らコントロールできないものにかかっているのかもしれない。最後に行った資金調達がそれだ。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)を乗り越えられないスタートアップ企業がどれくらいあるのかを試算するよい方法はない。危機がどれくらい続くのか、誰にも分からないからだ。一部の企業は、例えばフードデリバリーやテレワーク、遠隔医療など、世界各地のロックダウンの最中に繁栄している産業に属しているだけの幸運に恵まれた。その他の企業にとっては、会社の命運は自分の力が及ばない要因にかかっているのかもしれない。タイミングがそれだ。
普通であれば、スタートアップ企業は1年ないし2年の事業活動を賄えるだけの資本を調達することを目指す。だが、世界経済が悲惨な状態にあるため、多くのスタートアップ企業にとって、ベンチャーキャピタル(VC)が持つ新規資金へのアクセスはほぼ絶たれている。
調査会社ピッチブックのアナリスト、アレクサンダー・デービス氏によると、同社のデータベースに登録されている米国のスタートアップ企業のうち、7200社は2020年3月半ばまでに資金が底をつきそうだった。特定された企業の大半が恐らく、12~18カ月前に資金を調達していた。その間にも請求書は届き続ける。大半の企業にとって従業員の給与が最大の経費であり、スタートアップの世界ではレイオフ(一時解雇)がよくある光景になった。
筆者は過去数週間、スタートアップが直面しているストレスの理解を深めるために、大勢のスタートアップ創業者、投資家、取締役の話を聞いた。VCマネーが干上がっている今、経済の縮小が始まる前にいつ資金を調達したかが、どの企業が生き残り、どの企業が生き残れないかに重大な影響を及ぼす。
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