米ファスト・カンパニー

新型コロナウイルスの感染拡大によって自宅に閉じこもることを余儀なくされる中、多くの人が自分で作るカクテルについて“野心的”になり、自作をオンライン上で共有している。

自宅で作ったカクテルをオンライン上で共有するイメージ(写真/Shutterstock)
自宅で作ったカクテルをオンライン上で共有するイメージ(写真/Shutterstock)

 リアンヌ・フェイバーさんは、「Brooklyn Burro(ブルックリンバロー)」を作っている。モスコミュールをトロピカル風にアレンジし、ウオッカの代わりにホワイトラムを使い、パイナップルと薬草酒アンゴスチュラビターズを加えたカクテルだ。

 通常であれば、勤め先のニューヨーク・ブルックリンのバー「Leyenda(レイエンダ)」で顧客のために作っているが、ニューヨーク州では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)の中、生活必需品を扱う店舗以外、閉鎖を余儀なくされている。そこでフェイバーさんは今、Instagram上で動画をライブ配信し、全米、そして全世界の人に、自宅待機命令が出ている間、家でカクテルを作る方法を教えているのだ。

 この動画は、お酒と飲酒文化に特化したオンライン雑誌「Punch(パンチ)」が主催する「Tip Your Bartender(バーテンダーにチップを払おう)」というカクテル教室シリーズの一環で、紹介する予定の全50種類のカクテルのうちの第2弾だ。個々の動画は米国のどこかで閉鎖されているバーのための資金集めになっており、送金アプリ「Venmo(ベンモ)」を使い、休業を強いられているバー従業員のための基金に寄付するよう視聴者に呼びかけている。

 インターネット上の至る所でバーテンダーが家庭のカクテルファンに独自レシピとコツを教えている。何らかの大義を支援している場合もあれば、ただ人とつながるためにやっている場合もある。「ソーシャルメディアで見かけるのは(プロの)バーテンダーだけではない。こうしたホームバーテンダーがどこからともなく現れ、友人たちと結びつく手段としてソーシャルメディアを使っている」と、パンチ創業者兼編集長のタリア・バイオッキ氏は言う。

 「ソーシャルプラットフォーム上ではこの期間中、今後もブランド系カクテル、オーガニック系カクテルの双方でバーテンダー主導コンテンツが見られると思う」。自らバーテンダーにしてバーコンサルタントでもあり、ジャーナリストとしても活動するタイラー・ジーリンスキ氏はこう話す。「こうしたコンテンツは、バーテンダーのようなクリエイティブ系の個人にとって創造的なニーズを満たしてくれるし、自宅で何とか忙しくしていようとする消費者のためにもなる」。

ホームバーの台頭

 新型コロナウイルスの感染拡大による店舗閉鎖は、「オン・プレミス・アルコール業界」と呼ばれるものに壊滅的な影響を及ぼしている。米国各地でバーが閉鎖され、レストランはテークアウトと宅配の注文で何とかしのいでいる状況だ。

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