ハーゲンダッツも採用 画期的な「ごみゼロ」容器、小売店でも(画像)

シャンプーやアイスクリームを再利用可能なパッケージで宅配し、空になった容器を回収する「Loop(ループ)」。試験サービスの開始から1年たった今、その事業は大きく拡大しそうだ。小売店でも近々、その画期的なパッケージデザインが見られるようになる。

Loop向けのハーゲンダッツの容器(写真提供/ネスレ)
Loop向けのハーゲンダッツの容器(写真提供/ネスレ)

 今から1年ほど前、世界最大級に数えられる大手ブランド企業数社の連合が、ある実験に乗り出した。

 使い捨てのプラスチック容器の代わりに再利用・返却可能な容器でシャンプーなどの日用品を売り始めたら、果たして顧客は買うだろうか。牛乳配達モデルの現代版、つまり顧客がオンラインで買い物し、空になった容器を物流大手UPS経由で返却すると、新しい顧客のために容器が洗浄され、リフィルされる仕組みは、ビジネスとして成り立つだろうか――。これらの疑問に答えを出すための実験である。

「牛乳配達モデル」で食品や日用品を販売

 大手企業にとって、「Loop(ループ)」という名の新たなプラットフォームは、プラスチックによる環境汚染問題に対処するよう求める消費者の圧力に突き動かされ、商品のパッケージ方法、配送方法を根本的に変える対策を試してみる劇的なステップだった。最初の試験サービスが始まったのは2019年5月。試験は十分に成功したため、ループは今、急激に事業を拡大しており、まもなく小売店にも導入されようとしている。

 「企業はパッケージに関わる廃棄物を減らす新たな方法を模索しており、顧客もそれを要求している」。スイスの食品世界最大手ネスレ傘下のアイスクリームメーカー、米ハーゲンダッツでプロジェクトマネジャーを務めるスティーブ・イエー氏はこう話す。同社はループの試験サービス向けの新しいパッケージを開発するために多大な経営資源をつぎ込んだ。そうして誕生したのが、より長くアイスクリームを冷やしておけるよう設計された斬新なステンレス製容器だ。使い終わった容器は送り返すことができ、最先端の洗浄システムで殺菌洗浄されたうえで、再利用される(従来容器と比べると、食卓での見栄えもかなりいい)。

 ループのシステムは、顧客にとってシンプルな制度になるよう設計されている。理論上は、使い捨てのパッケージに入った商品を買い、その容器をごみ箱に捨てるのと同じくらい簡単だ。

 まず、オンラインで注文した商品が再利用可能な大型バッグに入れられて届く。空になった容器があれば、顧客がそのバッグに容器を入れ、回収依頼を手配する。すると、再利用のために容器が返却され、顧客は最初に支払ったデポジット(預かり金)の返金を受ける(商品を再注文すれば、デポジットは顧客のアカウントに残され、再び払わずに済む)。

 重い容器を使い、輸送量が増え、洗浄も必要になるが、それでも使い捨てプラスチックよりカーボンフットプリント(商品のライフサイクル全体を通した温暖化ガス排出量)が小さくなるという。さらに、容器が埋め立て地に行き着いたり、海に流れ込んだりすることも防げる。

 「リサイクルだけでは不十分なことは誰もが知っている」。循環経済の推進に取り組む団体エレン・マッカーサー財団でイノベーションチームを率いるサラ・ウィングストランド氏はこう語る。「これは、どうやって商品を人々に届けられるかについて考える全く新しい方法だ」。

環境への優しさより美的デザインが人気

 ネスレの場合、アイスクリーム容器の最終的なデザインに行き着くまでに、社内チームが15通りのデザインを試した。最終的なデザインの利点は廃棄物の削減にとどまらない。容器には二重の金属ライニングが施されているため持ちやすいが、中のアイスクリームは溶けない。また、表面の方は少しだけ早く溶けるように設計されているため、アイスがすくいやすくなっている。さらに容器の縁が丸いため、アイスが底の隅に残ることもない。そのうえ、使い捨てパッケージよりも見栄えがいい。

 驚いたことに、試験サービスの成功をもたらす最大の原動力になったのは、環境面の恩恵よりも、むしろ美的なデザインだった。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>