
バリスタが丁寧に提供するサードウエーブコーヒーの代表格として知られる米ブルーボトルコーヒー。同社の次なる戦略として、環境対策の一環として使い捨てカップを完全に廃止する大胆なベータテストの実施を発表した。
毎年2500億個のファイバーカップが埋め立て地に捨てられていることをご存じだろうか(編集部注:大半のファイバーカップは表面がポリエチレンで薄くコーティングされているため、生分解されるのに相当な時間がかかるとされる)。世界の多くの企業が今、リサイクルできるかあるいは堆肥化できる使い捨てカップを設計しようとしているのは、このためだ。2018年には米スターバックスが米マクドナルドと手を組み、リサイクル可能な使い捨てカップの開発に乗り出した。
ブルーボトルコーヒーは、こうした完璧な使い捨てカップの完成を待つ気はない。ブライアン・ミーハンCEO(最高経営責任者)は2019年12月9日に投稿したブログで、世界の使い捨てカップ問題における自社の役割について間違いを認め、サンフランシスコのベイエリアにある1店舗で、「ゼロ・シングルユースカップ・プログラム」と銘打った急進的なベータテストを実施すると発表した。言ってみれば、このブルーボトル店舗は使い捨てカップの提供を完全に打ち切るということだ。
失敗覚悟で使い捨てカップを完全廃止
実験店舗では、客がマグカップか魔法瓶を持参しないといけない。そうでなければ、デポジット(預かり金)を払って貸し出し用カップを借りなければならない。ブルーボトルの広報担当者は本誌ファスト・カンパニーの取材に対し、このカップのデザインはまだ制作中だが、持ち帰り用として設計され、デポジットは3~5ドル程度になると語った(カップを返却すればこの価格は事実上無料になる。ちなみにブルーボトルが現在販売している16ドルの再利用可能カップより大幅に安い)。
「うまくいかないかもしれないし、会社にとってお金がかかることになるかもない、さらに顧客の生活を少し複雑にするかもしれない。ただそんな実験を発表することを、我々は誇りに思う」。ミーハン氏はこう述べた。ブルーボトルはまず堆肥化できるバイオプラスチックの利用を手掛け、その後、サトウキビから作ったカップに切り替えた。が、それでもまだシングルユースカップを年間1200万個使っており、どんな指標で見てもまだ無駄だと説明した。
もちろん、スターバックスは何年も前から、容器を持参した場合に飲み物に10セントの割引を提供してきた。また、英国のコーヒーショップ向けに再利用可能カップのコレクションを開発したカップクラブというスタートアップ企業は、今年、ファスト・カンパニーの「イノベーション・バイ・デザイン」賞の受賞者に名を連ねている。
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