米ファスト・カンパニー

米大統領選を約1年後に控えSNSでの政治広告の扱いに注目が集まる。米ツイッターは中心を表明、米フェイスブックは継続だ。フェイスブックの利用者データが流出した英調査のケンブリッジ・アナリティカを提訴したデビッド・キャロル准教授は「マイクロターゲティング」を禁止したらどうかと提案する。

フェイスブックは政治的広告を継続するのか(写真はイメージ、写真/Shutterstock)
フェイスブックは政治的広告を継続するのか(写真はイメージ、写真/Shutterstock)

 米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は、全く正確でない主張を展開する政治家の広告を含めて、政治広告の枠をフェイスブック上で売り続けることにした決断について挑戦的な態度を貫いている。

 だが、デジタル権の提唱者であるデビッド・キャロル准教授(美術大学パーソンズ・スクール・オブ・デザイン)によれば、「政治広告は自由な言論の表現であり、一般市民がアクセスできるべきものだ」とするザッカーバーグ氏の主張は理屈が通らない、という。

ケンブリッジ・アナリティカを提訴した准教授からの警鐘

 動画配信大手ネットフリックスのドキュメンタリー映画「グレート・ハック:SNS史上最悪のスキャンダル」で詳しく描かれているように、キャロル氏はドナルド・トランプ米大統領と関係があったケンブリッジ・アナリティカを提訴したことでよく知られている。

 そのキャロル氏は、狭く絞り込んだ集団にマイクロターゲティング型広告を配信する巨大ソーシャルネットワークは、政治情報を配信する主要企業という立場にあるべきではないと主張する。というのは仮に、人々が自分の最も頭にくる政策争点だけに的を絞った広告ばかりを見ていると、隣人との間で確かな情報に基づく会話ができなくなってしまうからだ。

 マイクロターゲティングの仕組みは、政治家の選挙対策本部がフェイスブックに依頼し、非常に具体的で緻密に組み立てられたメッセージ(文章や図表、GIFデータ、動画など)を、そうした考えをすんなり受け入れると思える狭い有権者層に配信してもらうというものだ。キャロル氏は、この機能が非民主的だと考えている。相手によって異なるファクト(事実)を使って選挙の争点を描き出すからだ。

理性的な議論阻むマイクロターゲティング

 「民主主義の良さは、コミュニティーが自分たちで問題を議論できることだ。もし隣人同士の2人が、それぞれの商業的データと、そこから推論される政治傾向を織り交ぜた情報に基づいてターゲティング配信された全く異なる政治的メッセージを見ているとすれば、こうした理性的な議論さえできない」。11月上旬に米ニューヨーク市で開催された本誌主催「ファストカンパニー・イノベーション・フェスティバル」のパネル討論で、キャロル氏はこう語った。

 そうしたメッセージに、フェイスブックの規則で認められている「オルタナティブ・ファクト(代替的事実)」が入っている時には、議論はなおさら危うくなる。ザッカーバーグ氏は、もし政治広告の中にデマがあれば、フェイスブックのユーザーが自分たちで議論して暴くべきだと語った。「だが、もし虚偽広告が、異論を唱えないことが予測できる、選ばれた有権者集団だけに配信され、異論を唱えるような人が同じ広告を見ていないとしたら、その主張の論理は破綻する」とキャロル氏は言う。

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