米ファスト・カンパニー

急成長する人工肉市場に新しい有望株が登場した。新ブランドのミーティ・フーズは菌類から、不思議なほど本物のステーキと鶏むね肉に似た商品を作っている。

代替肉競争の主戦場はステーキへ(写真はイメージ、写真/Shutterstock)
代替肉競争の主戦場はステーキへ(写真はイメージ、写真/Shutterstock)

 米コロラド州ボルダーの醸造所のような施設で、発酵タンクがビールを醸造する代わりに菌糸体(マッシュルームの根っこのような部分)を育てている。「Meati Foods(ミーティ・フーズ)」という新しい代替肉ブランドが、菌類から、驚くほど本物に似たステーキと鶏むね肉を作っているのだ(実際の写真は原文参照)。

バーガーでなく肉の塊を作る新機軸

 2019年10月29日の新ブランド投入は、植物由来の食肉産業にとって大きな節目となった。この業界では、米インポッシブル・フーズや米ビヨンド・ミートといった企業が、ハンバーガーのようなひき肉商品を売ることで飛躍的な成長を遂げてきた。が、カットされた「肉」の塊はまだ提供されていないからだ。菌糸体は、肉の味と質感を自然と再現できる点でユニークだ。そのうえ大量生産することもできる。

 ミーティ・フーズを投入したスタートアップ企業Emergy Foods(エマジー・フーズ)の共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のタイラー・ハギンス氏は、「我々が使っている特定の菌株は、地球上で最も生育が早い生物の1つだ」と言う。ちなみに創業メンバーは、コロラド大学で博士課程の学生として出会い、当初は次世代バッテリーを作るために菌糸体を利用することを模索したが、自分たちの解決策に対する需要がより大きい食の世界へ方向転換した、という。

 「このスピードが全体的な生産効率にとって非常に役に立つ。肉の需要はとても大きいため、我々としては大量生産できなければならない。そして全体的なコストに関して言えば、時間が極めて重要になる」

肉らしい食感の秘訣は「繊維」

 食品が持つ質感の鍵を握るのは、菌の中の繊維だ。菌糸体の長い繊維は「ステーキや鶏むね肉のような商品の筋肉構造と似ている」。ハギンス氏はこう説明する。「これは植物由来のたんぱく質で再現するのが非常に難しい。(人工肉の世界で)主にひき肉商品ばかり見かけるのは、そのためだ。とにかく実現が難しい。当社の商品には自然な繊維構造があるため、ブロック肉の食感が得られるのだ」。

 エマジー・フーズは発酵タンク内で菌糸体を“醸造”しており、それがかなりの速度で育つため、一晩でタンクがいっぱいになるほどだ。次に原料が収穫され、水分と分離され、野菜などの天然成分と混ぜられたうえで、独自プロセスを使ってステーキや鶏むね肉に成形される。

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