コンバース、看板スニーカー刷新の意外なワケ【海外提携誌】(画像)

米コンバースは8月、廃棄ジーンズで作るサステナブルなシューズの新ライン「Renew Denim(リニュー・デニム)」を発売する。着古した生地を使うから自分だけの一足になる。だがこれは、シンボル的なスニーカー「チャックテイラー」が歩んでいくロードマップの最初の一歩にすぎない。

 コンバースは確かに、独アディダスや米エバーレーン、カナダのネイティブ・シューズと同じように環境に優しくなる姿勢を示している。ただそれを、非常に彼ららしいやり方で進める。

スニーカーの位置づけを変えていく(写真はイメージ、写真/Shutterstock)
スニーカーの位置づけを変えていく(写真はイメージ、写真/Shutterstock)

 シューズメーカーの人たちを話をすると、次第に技術的なイノベーションの重要性について聞くことになる。米ナイキの「エア」シリーズがあれば、アディダスの「ブースト」もある。軽くて速く走るための機能性シューズを巡る競争は激しさを増す。同時に、よりサステナブル(持続可能)なシューズについても状況は似ている。

 アディダスは中古品を裁断して新しいシューズを作れるように、たった1つの原材料からランニングシューズ全体を織り上げる方法を学んだ。ネイティブ・シューズは、生分解性植物だけを使ったシューズを開発した。

 だが今から4年あまり前、コンバースの幹部チームは別の形のイノベーションについて話し合うためにテーブルを囲んでいた。彼らが「感情的イノベーション」で重視するのは、「シューズを履いたときにどんな気持ちになるか」。コンバースのイノベーション担当バイスプレジデント、ブランドン・エイブリー氏はこう説明する。「自己表現できるか、自分らしくいられるか」。実際、サステナブルなファッションを身に着けたときに生じる「ハロー効果」を考えると、これは技術的であるのと同じくらい感情的なものだ。

 それから数カ月のうちに開発チームが実験を始めた。まず従業員に、からし色のカーディガンから花柄のサンドレスまで、自分にとっては大切だが、マリエ・コンドウ流(編集部注:日本出身で米国在住の片付けコンサルタントの流儀)に処分する用意がある古着を持ち込むよう呼びかけた。集めた衣類を裁断し、新しいシューズに縫い上げていった。

 コンバースのシンボルとも言えるスニーカー「チャックテイラー」はデザイン性の高い奇抜なスニーカーになっていった。機能的にも全く問題がないようだ。なぜなら、100年の歴史があるチャックテイラーのシンプルな構造──ゴムのソールにキャンバス生地のアッパー──が、およそどんな素材にも適応可能なプラットフォームだったからだ。

 「人が愛着を持っているこの2つのアイテムが、別の新しいものを作り出した」とエイブリー氏は言う。「個々のアイテムがどれほど違っていても、チャックテイラーの象徴的な性質がそれらの要素を飲み込み、新たな生命を吹き込んだ」。

 開発チームはこのアイデアを限界ぎりぎりまで試した。エイブリー氏は机にあった紙の郵便物を文字通りつかみ取り、実験に加えてみたほどだ。その結果できたのが、しわくちゃの紙のようなチャックテイラーで(実際の見た目は、こちら)、これがある理論を証明した。コンバースの最も象徴的なシューズをどんな素材からも作ることができ、そのためにシューズが面白くなることを証明した。

“ロジスティクスの悪夢”を回避せよ

 チームのメンバーは、何かいいところを突いていることが分かっていた。そこで2年ほど前、アップサイクル(編集部注:リサイクルの概念を進化させたもので、廃物に加工などを施したうえで再利用すること)の生地の実験をスケールアップするとどうなるか検討し始めた。

 結局、お気に入りのスエットシャツがいくらあっても、年に何百万足ものシューズを手作りすることはできない。それでは“ロジスティクスの悪夢”、つまり運送コストが膨大になってしまうからだ。