
革新的な米ビジネスメディア「ファスト・カンパニー」の翻訳記事がスタートする。初回のテーマは配達ロボット。物流の「ラストワンマイル」を担う配達ロボットは、機能だけを考えていては不十分だ。地域社会の一員として受け入れられ、良き隣人としてさまざまな役割を担う──そんな「ご近所のマスコット」になることを狙ったロボット「Serve(サーブ)」が登場した。
配達では「ラストワンマイル」に最も厳しい関門がある。貨物を全世界に空輸する料金は安く思えても、小包をたかだか8ブロック先へ配達するために人を雇うのは、どうやっても採算が合わない。この問題のために、多くの企業がここ数年でロボット配達技術の開発に投資し、セグウェイやマーブルをはじめとした多くのブランドがこぞって、ピザを配達できるロボットの開発でしのぎを削っている。
こうしたロボットの大半は、無線操縦車と業務用コピー機をかけ合わせたような形に見える。だが、買い物代行・宅配サービスの米Postmates(ポストメイツ)は最近、断然フレンドリーに見える歩道走行ロボット「Serve(サーブ)」をお披露目した。
2019年ロサンゼルスの歩道でデビューするServeは、ピクサー映画からそのまま抜け出してきたような風貌だ(実際の風貌はオリジナル記事参照)。2つの大きな目、歩道の縁石を飛び越せる12インチの車輪、地元住民に塗ってもらう車体、映画で有名なごみ処理ロボット「WALL-E(ウォーリー)」自身と同じくらい奇抜で愛らしく、不完全に感じるように意図された個性を備えたロボットだ。
配達ロボットに対して、なぜこのようなアプローチを取るのか。理由は、自動化する難しさは技術だけの問題ではないからだ。ポストメイツのロボットは、狭い歩道で見知らぬ人たちと共生する必要がある(人間がロボットを襲う犯罪は、最近珍しくない)。Serveは、配達の顧客だけでなく、すべての人が受け入れられ、共感を抱くことさえできる存在でなければならないのだ。
3億ドルの資金を追加調達した後、今や企業価値が12億ドルと評価されているポストメイツにとっては、事業の未来をきちんと描けるかどうかが問題になる。
Serveは「ポストメイツX」と名付けられた社内研究所のプロジェクトとして始まった。18年6月、サンフランシスコのデザイン会社ニューディールデザイン(NDD)と提携したポストメイツXは、初期の配達ロボットの試作品を製品化したかったが、そもそも配達ロボットがどんな形であるべきかは、これといった決まりがない。一部の都市は、巨大な自動運転車が歩道を占拠しないよう、配達ロボットの大きさと重量の厳格な制約を公表し始めたが、それ以外の仕様は完全に宙に浮いたままだ。
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