第6回までライドシェアサービスのビジネスモデルやビッグデータ活用について紹介した。第7回からは3回にわたって、現場のドライバーの視点で問題点やそれらに対する改善の提案を紹介していきたい。
シェアリングエコノミー全盛の時代におけるエクセレントカンパニーは、サービス提供者である我々のような現場のコントラクター(Contractor)を、コストとしてではなく事業への貢献者(Contributor)として扱う必要があると考える。
顧客(Customer)、自社(Company)、他社(Competitor)の3Cにサービス提供者を「Contributor」として加えた4Cモデルである。マーケティング理論でも「4C」があるが、それとは異なるものだ。
事業のあらゆる決定は、サービス提供者にどのような影響を与え得るかを常に考慮する必要があるということだ。現在は、4CのそれぞれがSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やWebサイトなどのコミュニケーションチャネルでつながっている。倫理的や道徳的に間違ったことをすれば、その企業の評判や業績にボディーブローのように効いてくることを再認識してほしい。
サービス提供者は顧客に直接サービスするだけでなく、自身も顧客としてサービスを利用する。競合他社の仕事を請け負う場合もある。客観的な評価が可能な立場にある。
下がり続けるドライバーの収入
シェアリングサービス大手の創業者らはビリオネアとして優雅な生活を送り、正社員の多くの年収も1000万円以上である。
その一方で、21世紀のエクセレントカンパニーとは呼べないのが現場のサービス提供者の待遇だ。人数からして100倍以上もいるドライバーの収入が下がり続けている。このまま下がり続ければ、ドライバーが食料の配給を受けられるフードスタンプをもらわないと生活できないようになりかねない。
特に米国の都市部は生活コストが上がっている。地域はシェアリングサービスや大手IT企業の社員だけでは成り立たない。サービス提供者であるドライバーが1時間以上かけて都市まで通うようないびつな状況になってしまう。2時間以上離れた場所でないと、暮らしていけなくなるだろう。
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