ウーバーやリフトは「移動」の概念を大きく変えた一方でビジネスモデルの詳細やデータの活用方法は明らかになっていない。シリコンバレー在住の日本人ドライバーによる連載の3回目はウーバーが提供する各種サービスについて説明する。
ウーバーは2009年の創業から9年目にして約4兆2000億円の売り上げを達成するまでに急成長している。ここにきて成長が鈍化しているが、売り上げ増を実現しているのが世界中の630を超える都市でのサービスの横展開だ。タクシーの市場は全世界で約10兆円だという。さらにライドシェアを中核に新たな市場にも乗り出している。
ウーバーが実際にサービスを始めたのは今から8年前の10年である。当初は高級車を使ったライドシェアサービスの「Uber Black」のみだったが、2年後には現在の主力である「UberX」を開始した。
その後、14年に同方向に向かう複数の顧客が同乗する「Uber POOL」を開始した。ドライバーのクルマをまさに見知らぬ顧客同士で相乗りするサービスである。配車の決定までUberXよりも時間がかかる場合が多く、クルマが決まっても迂回してくるので待ち時間が増えることもある。ただし、料金はUberXの2~3割安のケースが多い。
さらに2018年には「Uber POOL」の廉価版である「Uber Express POOL 」を開始した。前回説明したが、ドライバーのクルマの移動距離が少なくなるような場所まで、顧客が歩いて移動するというものだ。Uber POOLよりも安価で、UberXの4~5割安い水準に設定している。
あらゆる移動をシェアリングで取り込む
クルマの利用目的を特定し、ユーザーを一般消費者から企業側に変えることで、新たなサービスも開発した。
例えば、医療機関側から診療日時を指定したうえで配車までしてもらえる「Uber Health」がそれだ。患者が予約を忘れてしまうことが多いため、病院側で配車も予約してしまうのだ。ウーバーが患者に対してピックアップ日時の確認を送ることでリマインドにもなり、確実に来院することを支援する。
また、自動車のディーラーがクルマの定期点検時に顧客の送迎を行う「Uber Central」というサービスもある。ディーラーにクルマを預けた帰りや点検終了時にウーバーのドライバーが迎えに来てくれる。もちろん料金はディーラー持ちであるが、ディーラーにとっても従業員による送迎などのコストを削減しているのだ。
ウーバーは電動自転車や電動スクーターを提供するJUMPを買収し今年10月からサービスを開始した。サンフランシスコのように交通渋滞が激しく坂の多い都市では便利で、観光客は特に重宝している。
市場を奪った格好のレンタカー大手のハーツとも手を組む。ハーツの稼働が空いてしまったレンタカーを、ウーバーのドライバーに提供するというものだ。

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