持続的イノベーション事例の3社目は、グループウェア開発・販売大手サイボウズが実現した働き方イノベーションに焦点を当てる。同社は社員の離職率が28パーセントに達した2005年以降、10年超にわたって継続的に働き方の多様化に取り組み、今や有数の「働きがいのある会社」としての地位を固めた。業績向上のみならず、優秀な人材の獲得でも優位に立つ。働き方イノベーションが進展した経緯と、他社が導入する際のポイントについて解説する。
日本における「働きがいのある会社」ランキング(中規模部門:従業員100~999人)で4位、同調査の女性の働きがいランキング(中規模部門)では1位──。「働きがい」に関する調査・分析を世界約60カ国で実施している専門機関「Great Place to Work」が毎年発表する働きがいランキングで、サイボウズが上位にランクインするようになって久しい。

「働き方改革」という言葉は、電通の過労死事件をきっかけに急速に浸透したが、サイボウズは10年以上にわたって働き方イノベーションに取り組み、日本を代表する働き方改革先進企業として脚光を浴びている。
ちなみにサイボウズで取り組んでいるのは働き方の多様化であり、働き方を、問題があったA型から正しいB型に変えるイメージがある働き方改革とはやや異なる。残業ゼロを絶対善とする価値観ではなく、残業もして頑張りたいという働き方も認めるし、育児や介護の都合で他社なら退職を検討するようなケースでも在宅や短時間勤務で継続できる、そんな100人100通りの働き方を「開拓」したというのが正しい。ではなぜ、サイボウズは働き方イノベーションに成功したのか?
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