世の中を激変させる5G(第5世代移動通信システム)に迫る特集第3回はKDDIの戦略を追う。2018年9月、東京・虎ノ門に「KDDI DIGITAL GATE」というラボを設けたが、新サービス創出の鍵を握るのは5Gだけとは考えていない。企業や地域の課題解決に活路を見いだしている。

KDDIは10月、5G時代に向けて札幌ドームで実証実験を実施。スマートグラスにプレー中の選手のデータを映し出し、新たなスポーツ観戦の形を示した
10月3日、総務省に通信各社のトップが顔をそろえた。5Gの公開ヒアリングだ。KDDIの髙橋誠社長はスライドを示し「IoTですべての人とモノがつながる。ビッグデータ、AI(人工知能)の活用など、大量の情報共有には5Gが必要不可欠」とその意義を強調した。
米国ではすでにスタート
日本では、東京五輪を念頭に5Gの導入時期を20年としてきた。しかし、米国ではベライゾンが10月、独自規格を使って世界初の5G商用サービス「5G Home」をスタート。韓国も18年の平昌五輪で5Gのデモを公開し、19年には商用サービスに乗り出す予定だ。髙橋社長は「他国に後れを取らないよう、日本も準備の加速が必要」と訴えた。
KDDIは19年中に一部エリアで5Gサービスを先行的に始める。しかし、一方で、5Gだけに前のめりというわけではない。東京・虎ノ門に9月にオープンしたラボ「KDDI DIGITAL GATE」は5Gに限らず、企業と新しいサービスを“共創”することを第一に考えた実験施設だ。
ラボはソフトバンクやNTTドコモも開設している。しかし、両社とも5G中心のアプローチでラボを運営しているため、山根隆行センター長は「ライバルだと思っていない」と考える。
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