AIで害虫の位置を特定して農薬散布

 次に登壇したのは、オプティム プラットフォーム事業本部マネージャーの濱場匡之氏だ。2000年創立で、佐賀県佐賀市に本店を置く同社は、従業員450名のうち80%をソフトウエアエンジニアで占める技術屋集団である。「世界一、AIを実用化させる企業」を目指し、自治体、健康、小売り、流通など、各業種向けAIソリューションを提供している。

オプティム プラットフォーム事業本部マネージャーの濱場匡之氏
オプティム プラットフォーム事業本部マネージャーの濱場匡之氏

 興味深いのは農業向けソリューションだ。同社は、減農薬農業を実現するための「ピンポイント農薬散布テクノロジー」を開発した。ドローンで畑や水田の農作物を撮影し、AIによる画像解析で害虫の位置(葉に穴が開いているかどうかで判断)を特定し、ドローンでピンポイントに農薬を散布するというもの。その結果、収量や品質を下げることなく、農薬使用量を90%削減することに成功したという。

 もう1つ紹介したのは、市販カメラでも利用できるAI画像解析技術と各業界に特化した学習済みAIモデルをプリセットにした「OPTiM AI Camera」である。小売り、飲食、鉄道、銀行、製造、集合住宅、公共、空港、学校、オフィスビルの10業種に特化した学習済みAIモデルを、AI画像解析技術と共にサービスとして提供する。すでに300種を超える学習済みAIモデル用意されているとのことだ。

 濱場氏は、「実用的なAIサービスを提供するには、誰でも分かる、すぐ使えるものでなくてはならない。AIサービスを提供する側は、必要であれば(AI製品を活用した)ビジネスモデルも提案できる力を求められる」と強調した。

“振る舞い検知”で万引き被害を4割削減

 画像認識技術が最も活用されているのは、監視カメラだろう。アースアイズ(東京・中央)は来店者の行動をAIで分析し、不審者を検知して万引きを防止するサービス「AIガードマン」を紹介した。導入した店舗では、約6カ月間で万引き被害額が導入前よりも約4割減少したという。

 同社によると、小売店舗では来店者の350人に1人が万引き犯で、年間の万引き被害総額は小売業全体で推定4000億円に上るという。代表取締役の山内三郎氏は、「これまでの万引き対策は、監視のための防犯カメラや私服警備員の配置で、そのコストは小売業を圧迫していた」と指摘する。

アースアイズ 代表取締役の山内三郎氏
アースアイズ 代表取締役の山内三郎氏

 万引き犯は一般の買い物客とは見ている方向が違ったり、死角位置にとどまったりする。AIカメラの画像解析でそうした不審行動を検知できれば、従業員が声をかけて万引きを未然に防止できると同時に、抑止力にもなる。山内氏は、「われわれの製品が、そうした課題解決のひとつの手段になればと考えている」とコメントした。

10年前の顔でもAIで照合可能

 最後に登壇したのは、パナソニック コネクティッドソリューションズ社のセキュリティシステム事業部インテリジェントサーベランスSBUグローバルプロモーション総括担当の関口裕氏だ。同氏はディープラーニングによる顔認証システムの「FacePRO」を紹介した。高精度の顔認証ソフトウエアと、同社のネットワークカメラ「i-PRO EXTREME」で構成される。あらかじめ登録された顔画像と撮影された顔画像が照合されると、アラーム通知などが行われる仕組み。利用用途は、主に公共機関のセキュリティー監視や入国審査の本人確認で、国際空港の自動化ゲートではすでに導入されているという。

パナソニック コネクティッドソリューションズ社のセキュリティシステム事業部インテリジェントサーベランスSBUグローバルプロモーション総括担当の関口裕氏
パナソニック コネクティッドソリューションズ社のセキュリティシステム事業部インテリジェントサーベランスSBUグローバルプロモーション総括担当の関口裕氏

 関口氏は、「公共施設の監視カメラで撮影される映像は、必ずしも鮮明なものではなく、人物特定に限界があった。FacePROではディープラーニング技術を使って、斜めに向いた顔や経年変化した顔、サングラスやマスクなどで顔の一部分が隠れている場合でも、照合を可能にした」と説明。将来的には公共施設の監視や入場管理など、さまざまなシーンでの活用を図りたいとしている。