現在、Alexaは世界14カ国で提供され、ユーザーとの会話によってあらゆるデータを蓄積・学習し、その精度を向上させている。ラウシュ氏は「今後は国ごとでAlexaの“性格”を変える──同じ内容の質問でもリアクションを変える──ことを検討していく」と、その将来像を語った。

アマゾンは日経クロストレンド EXPO 2018の展示会場にブースを構え、「Amazon Echo」などを紹介していた。ちなみに「Amazon Echo Show」の日本発売は12月12日で、価格は2万7980円(税込み)
アマゾンは日経クロストレンド EXPO 2018の展示会場にブースを構え、「Amazon Echo」などを紹介していた。ちなみに「Amazon Echo Show」の日本発売は12月12日で、価格は2万7980円(税込み)

開発キットやAPIを公開してエコシステムを強化

 Alexaが急速に普及した背景には、アマゾンのエコシステム戦略がある。同社はサードパーティーがAlexaを自社製品に組み込むためのSDK(ソフトウエア開発キット)である「Alexa Skills Kit(ASK)」やAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の「Alexa Voice Service(AVS)」、さらに通信モジュールや半導体がセットになった小型ボードの開発キット「Alexa Connect Kit(ACK)」などを提供している。これらを活用すれば、家電メーカーや自動車メーカー、住宅メーカーといったサードパーティーは、最小限の開発労力で自社の製品/サービスにAlexaを組み込める。

 講演ではその事例の1社として、アイリスオーヤマのLED照明機器を紹介した。

 アイリスオーヤマではAlexa対応のLEDシーリングとLED電球を販売している。明るさや色調、点灯/消灯を音声で操作できる。同社では「例えば、子どもの世話をしていたり料理をしていたりして両手が塞がっているような状態では、音声入力で照明が操作できる利便性は高い」と、そのメリットを強調する。

 ラウシュ氏は、「スマートホームのコンセプトは以前から喧伝(けんでん)されていたが、実現したのは最近で、そのけん引役となったのがAlexaだ。音声認識が普及する以前は、スマートフォンを介して家庭内にあるコネクテッドデバイスを操作する試みがなされたが、それは失敗した。目の前にあるデバイスのスイッチを操作するために、わざわざスマホのアプリを立ち上げる人はいない。その点、Alexaは操作がシンプルであり、『快適性』の観点からもアドバンテージがある」と語る。

 現在は冷蔵庫や電子レンジといった家電製品から、芝刈り機やスプリンクラーなどの農業・園芸用機器までAlexa対応の製品が市場に投入されている。ラウシュ氏によると、世界で約3500のブランドがASKやAVS、ACKを活用して開発した製品を提供しており、その数は直近の11カ月で約2万点に上ったとのことだ。