日本IT団体連盟は2018年12月に情報銀行の認定事業を始める(関連記事)。この認定取得の方針をいち早く固めたのが、電通テック子会社のマイデータ・インテリジェンス(東京・千代田)だ。同社は18年9月に設立され、19年春に情報銀行サービス「MEY(ミー)」の本格開始を予定している。
「個人情報を管理する文化に消費者は慣れていない。安心安全に管理でき、かつデータを預けることで利用者にとってメリットになることを丁寧に説明することが求められる」
マイデータ・インテリジェンス取締役COO(最高執行責任者)の森田弘昭氏は取材中、何度も「消費者起点」という言葉を口にした。電通テックが最も恐れるのは消費者視点を欠き、情報銀行が企業都合で個人情報を集めて収益化するためのサービスという認識が広まってしまうことだ。情報銀行が消費者に受け入れられるには「消費者主導のサービス構築が最優先だ」と森田氏は口を酸っぱくする。
実のところ情報銀行事業の展開に認定は必須ではない。法律上、消費者の許諾さえ得られれば個人情報の利活用は可能であり、情報銀行に類するサービスも提供できる。それでも認定の取得を前向きに検討するのは、消費者視点を重視するがゆえだ。「ガイドラインに準拠していることの証しになり、安心安全のデータ流通市場を作るうえで必要になると考えている。成り行きに応じる面もあるが、基本的には認定を受ける方向で考えたい」と森田氏は言う。
マイデータ・インテリジェンスが情報銀行事業でまず利活用を目指すのが、キャンペーンにまつわるデータだ。電通テックはさまざまな企業からプレゼントキャンペーンなどの実施を請け負い、毎年2000万口に及ぶ応募データを取り扱っている。このデータをこれまで利活用できていなかった。足元のデータのマーケティング活用を狙い、情報銀行への参入を検討した。
認定取得に先駆け、マイデータ・インテリジェンスが2018年11月19日に始めるのが、キャンペーンのプラットフォーム「MEY ベネフィット」だ。まずはブラウザー版から始める。19年春にはスマートフォン向けアプリでも利用可能になる。
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