2018年9月、ファッションデザイナーの森永邦彦氏はアパレルブランド「アンリアレイジ」の19年春夏コレクションをパリで発表した。テーマは「CLEAR」。黒い服や帽子が次第に透けてグレーになり、最後は透明へと変化する近未来的なデザインが喝采を浴びた。
服や帽子の生地に用いた糸やスパンコールに採用されたのが、三井化学が開発した紫外線に感応するポリプロピレン製の調光素材だ。装飾用のパールやシューズのヒールに使うウレタン素材、ボタンに使われた調光レンズ素材も三井化学の製品だ。森永氏だけでなく、他の著名デザイナーがパリで発表した2019年春夏コレクションにも、三井化学の新しいポリエチレン素材が採用されたという。
三井化学の製品が世界で活躍しているデザイナーに相次いで採用されたきっかけは、18年3月に東京・青山で期間限定で開催した展示会「MOLpCafe(モルカフェ)」だった。三井化学の研究者が中心となって運営したモルカフェでは、取引先の担当者ではなく、クリエイターやデザイナーといった今までアピールしてこなかった人たちを招待。研究者が自社の素材の魅力を分かりやすく展示したり解説したりする他、クリエイターやデザイナーのニーズをつかむために積極的にコミュニケーションしていた。
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