2018年7月、AGCに社名変更した旭硝子は、新ブランドを浸透させるため、インナーブランディングを中心にさまざまな取り組みをしている。同社は世界に210のグループ会社、5万人以上の従業員を抱えるグローバル企業。社名変更に当たり、グローバルの従業員をどう束ねるかが課題だった。
AGCという名称自体は、1987年からグループのシンボル代わりに使用していた。2007年にはグループブランドをAGCに統一し、関連子会社は同名称を冠するようにルールとして定めた。「しかし、それぞれの会社が異なるブランドメッセージを掲げてしまったことで、ブランド名の認知度の低下と分散が起こった。そこで今回、社名の変更に向けたプロジェクトを推進した」(AGCの広報・IR部・インターナルブランディングチームの石橋賢一チームリーダー)。
社名の変更に合わせた施策の1つが、ブランドステートメントの制定だった。既に「Look Beyond」というグループビジョンがあったが、「個々の行動につながりにくいのではないか」という意見もあった。そこで17年11月にブランドステートメントを全世界のグループ会社から公募したところ、1カ月で約900の応募があったという。それを5つの案に絞り込み、最終的に従業員の投票で決定した。世界中から3万人が参加した結果、選ばれたのはチェコの拠点に勤務するエンジニアが応募した「Your Dreams, Our Challenge」だった。シンプルで分かりやすく、創業当初からの「挑戦していく」という企業姿勢を表現した点が評価されたようだ。さらにブランドブックを制作し、創業の精神を示す文言も絡めたブランドストーリーを掲載。ブランドステートメントも含めて従業員の指針になっている。
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