2018年7月、AGCに社名変更した旭硝子は、新ブランドを浸透させるため、インナーブランディングを中心にさまざまな取り組みをしている。同社は世界に210のグループ会社、5万人以上の従業員を抱えるグローバル企業。社名変更に当たり、グローバルの従業員をどう束ねるかが課題だった。

内部の意識を変えることでグループ全体を強く
内部の意識を変えることでグループ全体を強く
さいたまスーパーアリーナで2018年9月に開催したAGCのグループイベント「Aフェス」。約2000人が参加した。家族連れで訪れる社員も多く、AGCの社風を家族に知ってもらうきっかけにもなった

 AGCという名称自体は、1987年からグループのシンボル代わりに使用していた。2007年にはグループブランドをAGCに統一し、関連子会社は同名称を冠するようにルールとして定めた。「しかし、それぞれの会社が異なるブランドメッセージを掲げてしまったことで、ブランド名の認知度の低下と分散が起こった。そこで今回、社名の変更に向けたプロジェクトを推進した」(AGCの広報・IR部・インターナルブランディングチームの石橋賢一チームリーダー)。

イベントではブランドブックにある社員の「挑戦」を集め、モザイクアートにした作品も展示
イベントではブランドブックにある社員の「挑戦」を集め、モザイクアートにした作品も展示
社名変更に合わせて、ロゴデザインの変更も行った。「G」や「C」のカーブをなだらかにしたり、「C」の開口部を開いたりするなどの変更を加えながら、従来の誠実・信頼・安定というイメージに、未来を創造するしなやかさや、躍動感あるイメージをプラスした
社名変更に合わせて、ロゴデザインの変更も行った。「G」や「C」のカーブをなだらかにしたり、「C」の開口部を開いたりするなどの変更を加えながら、従来の誠実・信頼・安定というイメージに、未来を創造するしなやかさや、躍動感あるイメージをプラスした

 社名の変更に合わせた施策の1つが、ブランドステートメントの制定だった。既に「Look Beyond」というグループビジョンがあったが、「個々の行動につながりにくいのではないか」という意見もあった。そこで17年11月にブランドステートメントを全世界のグループ会社から公募したところ、1カ月で約900の応募があったという。それを5つの案に絞り込み、最終的に従業員の投票で決定した。世界中から3万人が参加した結果、選ばれたのはチェコの拠点に勤務するエンジニアが応募した「Your Dreams, Our Challenge」だった。シンプルで分かりやすく、創業当初からの「挑戦していく」という企業姿勢を表現した点が評価されたようだ。さらにブランドブックを制作し、創業の精神を示す文言も絡めたブランドストーリーを掲載。ブランドステートメントも含めて従業員の指針になっている。