主に農機具などを製造・販売するヤンマーが、消費者向けにさまざまな取り組みを行っている。直接の取引先は農業や漁業の生産者だが、消費者の変化に生産者が対応できなければ、ヤンマーの業績にも影響する。生産者と消費者を結ぶことで、第一次産業を支援しようという狙いだ。
BtoB企業のブランディングで難しい点は、なぜブランディングすべきかを考えることだろう。BtoC企業が開発・販売する消費者向けの商品とは違って、テレビCMや広告が売り上げに直結しないBtoB企業は、人材採用のリクルート以外には、あまりブランディングに関心を示さない傾向があった。しかし取引先とのビジネスが次第に減少していくならば、黙って見ているわけにはいかない。何らかの打開策を示す必要がある。
このときに重要になるのが、自社にとって本当の顧客とは誰なのかを理解することだ。本当の顧客とは必ずしも直接の取引先とは限らない。BtoB企業にとっての顧客は、Bだけではない。ビジネスの先には、コンシューマーであるCがいるはずだ。BtoB企業でも、実はBtoBtoCとなるはず。本当の顧客である消費者のCに向けてアピールすれば、中間のBにも影響を与え、結果的に自社の業績にもつながる。
こうした考え方でブランディングに臨んでいるのが、主に農機具などを製造・販売するヤンマーだ。直接の取引先は農業や漁業の生産者であり、そうした取引先とヤンマーは長年、信頼関係を築いてきた。しかし消費者の食に対する好みが変わり、農業や漁業がそれに対応できなければ立ち行かなくなり、ヤンマーの業績にも影響する。そこでヤンマーが主導して消費者向けにさまざまな取り組みを行い、農業や漁業を支援する作戦に出た。
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